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PFAS飲料水基準値の国際比較【2026年最新版】日本・米国・EU・WHO・各国を完全比較

PFAS飲料水基準値の国際比較【2026年最新版】日本・米国・EU・WHO・各国を完全比較
「各国でPFASの基準値がバラバラ」「日本の50ng/Lは甘い?」
このような疑問を解決するために、PFAS Solution+ (旧PFAS研究所)が2026年4月時点での最新の各国・国際機関のPFAS飲料水基準値を完全比較します。なぜ各国で基準値が違うのか、背景にある考え方の違いも含めて解説します。

各国・機関のPFAS飲料水基準値一覧(2026年4月最新版)

日本米国オーストラリアカナダ複数PFAS合算30ng/L(案)←—なし2023年提案。最終決定前英国EUの飲料水指令に準拠した設定ドイツ

国・機関 PFOS PFOA その他PFAS 法的強制力 備考
日本 PFOS+PFOA合算50ng/L あり 2026年4月から水質基準(法的義務)
米国 4ng/L 4ng/L PFHxS・PFNA・GenX各10ng/L あり 2024年4月確定。遵守期限2031年に延長方向
EU 100ng/L(POPs規則) 100ng/L 4種合算20ng/L(2028年〜) あり 飲料水指令による複数PFAS合算規制
WHO 100ng/L(暫定案) 100ng/L(暫定案) 総PFAS500ng/L(案) なし 正式未確定。各国の参照基準
オーストラリア 8ng/L 200ng/L ガイドライン(任意) 2025年更新。各州の裁量
カナダ 複数PFAS合算30ng/L(案) ←/td> なし 2023年提案。最終決定前
英国 100ng/L 100ng/L あり Uの飲料水指令に準拠した設定
ドイツ 100ng/L 100ng/L 20種合算100ng/L あり EU指令実施

なぜこれほど基準値が違うのか

同じ物質なのに国によって数十倍もの差が生じる理由は3つあります。

理由①:TDIの計算前提の違い

TDI(耐容一日摂取量)から水道水基準値を計算する際の前提が異なります。
水からの摂取割合(最大の差を生む要因):

  • 日本:TDIの10%を水からの摂取に割り当て
  • WHO:TDIの20%を水からの摂取に割り当て(10%は保守的すぎると判断)

この前提だけで2倍の差が生まれます。

体重の設定
  • 日本:体重50kg(成人女性を参考)
  • WHO・EU:体重60kg

この違いも基準値に影響します。

理由②:「何を守りたいか」という哲学の違い

TDIベースアプローチ(日本・WHO)

「この量以下なら生涯摂取し続けても健康への悪影響が生じない」という考え方。科学的に確立したリスクのない量を計算して設定。

技術的下限値アプローチ(米国)

PFOA・PFOSについては「健康リスクがゼロになる濃度は科学的に証明できない」という立場から、現在の分析技術で検出できる最低濃度(4ng/L)を基準に設定。「できる限り低く」という予防原則を最大限に適用。

物質群アプローチ(EU・カナダ)

個別物質ではなく「複数のPFASをまとめた合算値」で規制。PFAS全体を一括管理する考え方。

理由③:設定時期の科学的知見の違い

各国の基準値は、その設定時点の科学的知見をもとにしています。科学が進歩するにつれて古い基準値が見直されることがあります。

米国が2022年に暫定健康勧告値として非常に低い値を示し、2024年に4ng/Lを確定させた背景には、それ以前の数年間で蓄積された新たな疫学データがあります。

日本の50ng/Lはどう位置づけられるか

国際的な文脈で日本の50ng/Lを位置づけると

  • 米国の4ng/Lと比べると:12.5倍緩い
  • WHOの暫定案100ng/Lと比べると:2倍厳しい
  • EUの100ng/L(飲料水指令単純値)と比べると:2倍厳しい
  • EUの4種合算20ng/L(2028年〜)と比べると:計算方式が異なるため単純比較困難

日本の50ng/Lは「国際的に見て真ん中あたり」という位置づけです。米国より大幅に緩いですが、WHOよりは厳しい。

「合算値」と「個別値」の違いに注意

各国の基準値を比較する際に注意が必要なのが「合算値」と「個別値」の違いです。
日本の50ng/L:PFOS+PFOAの合算値
米国の4ng/L:PFOSとPFOAそれぞれ個別に4ng/L
この違いは重要です。例えばPFOSが3ng/L・PFOAが2ng/Lの水道水の場合:

  • 米国の基準:PFOSが3ng/L(4ng/L以下なのでOK)、PFOAが2ng/L(4ng/L以下なのでOK)→ 基準値以下
  • 日本の基準:3+2=5ng/L(50ng/L以下なのでOK)→ 基準値以下

どちらも合格ですが、米国の基準は「各物質が4ng/Lを超えてはいけない」という個別管理であるのに対し、日本は「合算で50ng/L以下なら良い」という管理です。

2028年以降を見据えたEUの動向

EUの規制は段階的に強化される予定です。

現在(2026年)

飲料水指令により特定のPFASについて、PFOS・PFOA各100ng/L等

2028年から

飲料水指令の改正により、PFOS・PFOA・PFNA・PFHxSの4種合算で20ng/L(いわゆる「sum4PFAS」規制)が義務化予定
この「sum4PFAS 20ng/L」は日本の50ng/L(PFOS+PFOA合算)より対象物質が多く、実質的にはより厳しい規制です。
またEUは現在、1万種類以上のPFASを「物質群」として一括規制するREACH規制の「ユニバーサルPFAS制限提案」を検討中です。これが採択されれば世界で最も包括的なPFAS規制となります。最終決定は2026〜2027年頃の見通しです。

各国基準値の変遷から見えるトレンド

各国の基準値の歴史的な変遷を見ると、一つの明確なトレンドが見えます。

規制値は一方向に厳しくなり続けている。

  • 米国:70ng/L(合算・非強制) → 0.004ng/L(暫定・非強制) → 4ng/L(個別・法的義務)
  • EU:〜100ng/L  →  20ng/L(4種合算・義務化予定)
  • 日本:50ng/L(努力義務) →  50ng/L(法的義務・2026年4月〜)

値自体は横ばいでも「法的強制力」が強まっているのが日本の動向です。値の引き下げについては、次の改定時期が注目されます。

まとめ

各国のPFAS基準値比較のポイントをまとめます。

  • 最も厳しい:米国(PFOS・PFOA各4ng/L・2024年確定)
  • 中程度:日本(PFOS+PFOA合算50ng/L・2026年4月法的義務化)・EU(複数PFAS合算規制)
  • 参照基準:WHO(100ng/L暫定案・未確定)
  • 基準値の差が生まれる理由は「TDIの計算前提の違い」「守りたいもの(哲学)の違い」「設定時期の科学的知見の違い」
  • 世界的なトレンドは「個別物質の規制」から「PFAS全体の包括的管理」へ移行中
  • 規制値は世界全体で引き下げ・強化の方向にあり継続的な注視が必要
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