PFAS除去技術の研究が世界で進む
PFAS(有機フッ素化合物)は「永遠の化学物質」と呼ばれるほど分解されにくく、一度環境中に放出されると地下水や河川に長期間残留します。
このため世界各国で、環境中のPFASを除去・無害化する技術の研究が急速に進んでいます。
本記事では、現在研究・実用化が進むPFAS除去技術の最新動向をわかりやすく解説します。
なぜPFAS除去が難しいのか
PFASの除去が難しい最大の理由は、その化学的な安定性にあります。
炭素とフッ素の結合は自然界で最も強い化学結合の一つです。この結合は熱や酸・アルカリに対しても非常に安定しており、通常の水処理ではほとんど分解されません。
また、PFASは非常に微量(ng/Lレベル)でも問題となるため、極めて高精度な除去が求められます。
現在実用化されている主なPFAS除去技術
① 活性炭処理(AC:Activated Carbon)
現在、水道水処理で最も広く使われているPFAS除去技術です。
活性炭の多孔質構造がPFASを吸着することで除去します。
粉末活性炭(PAC)と粒状活性炭(GAC)の2種類があり、用途に応じて使い分けられます。
特徴
– 既存の浄水設備に比較的導入しやすい
– PFOS・PFOAなど長鎖PFASの除去に効果的
– 短鎖PFASや新興PFASには除去効率が下がる場合がある
– 活性炭の定期的な交換・再生が必要
日本の水道事業でも活性炭処理によるPFAS低減対策が各地で導入されています。
② 逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis)
非常に細かい孔を持つ膜でPFASを物理的に除去する技術です。
水圧をかけて水分子だけを膜に通し、PFASを含む汚染物質を除去します。
特徴
– 除去率が高く、広範囲のPFASに対応できる
– PFOS・PFOAだけでなく短鎖PFASにも効果的
– 設備コスト・運用コストが比較的高い
– 濃縮水(除去したPFASを含む廃水)の処理が必要
③ イオン交換樹脂
樹脂の表面にPFASを吸着させて除去する技術です。
活性炭では除去しにくい短鎖PFASにも効果があるとされています。
特徴
– 短鎖PFASへの対応力が活性炭より高い
– 樹脂の再生・廃棄処理が必要
– 活性炭と組み合わせた多段処理での使用が増加
研究段階の新技術
現在、世界各国の研究機関でより効果的なPFAS除去・分解技術の
開発が進んでいます。
高度酸化処理(AOP)
紫外線や過酸化水素などを用いてPFASを化学的に分解する技術です。
従来の吸着技術とは異なり、PFASを除去するだけでなく「分解・無害化」できる点が注目されています。
ソノケミカル法(超音波)、光触媒法、電気化学的分解法など、さまざまなアプローチで研究が進んでいます。
超臨界水酸化
高温・高圧の超臨界水中でPFASを分解する技術です。
炭素-フッ素結合を切断できる数少ない手法の一つとして研究が進んでいます。
バイオレメディエーション
微生物の力を使ってPFASを分解する生物学的手法です。
一部の微生物がPFASの分解に関与することが発見されており、低コストで環境にやさしい技術として期待されています。
ただし実用化にはまだ多くの研究が必要とされています。
日本での取り組み
日本でも国土交通省・環境省・国立研究開発法人などが連携してPFAS除去技術の実証事業を進めています。
2026年4月からPFASの水質基準への格上げが施行されたことで、自治体・水道事業者では浄水処理の強化が急務となっています。
特にPFASが検出された地域では、活性炭処理やRO膜の導入を検討する水道事業者が増えています。
今後の課題
PFAS除去技術の課題として以下が挙げられています。
コストの問題
高度な除去技術は導入・運用コストが高く、小規模な水道事業者には負担が大きいという課題があります。
短鎖PFASへの対応
従来の活性炭処理は短鎖PFASの除去効率が低く、より幅広いPFASに対応できる技術の開発が求められています。
濃縮廃棄物の処理
PFASを除去した後に発生する濃縮廃水や使用済み吸着材の適正処理・最終処分方法の確立が課題となっています。
分解・無害化技術の実用化
現状の除去技術はPFASを「移動させる」だけで根本的な無害化には至っていないケースが多く、
分解技術の実用化が世界的な研究課題となっています。
まとめ
PFAS除去技術は、活性炭・RO膜・イオン交換樹脂を中心とした実用技術が普及しつつある一方で、より効果的な分解・無害化技術の開発が世界中で急ピッチで進んでいます。
日本でも2026年の水質基準義務化を受け、水道事業者による浄水処理強化の動きが加速しています。
今後の技術革新により、より低コストで効果的なPFAS除去が可能になることが期待されています。









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