活性炭でPFAS除去を支える世界シェアNo.1の素材メーカー|株式会社クラレ
PFASへの向き合い方は、大きく「測る」「取り除く」「使わない(置き換える)」の層に分かれます。
これまで本サイトでは、「測る」を担う分析・調査の企業を取り上げてきました。今回は、検出されたPFASを水から「取り除く」段階に進みます。
その代表的な技術の一つが、活性炭による吸着です。
株式会社クラレ(KURARAY)は、活性炭販売で世界シェアNo.1とされる素材メーカーであり、米国のCalgon Carbonを含むグループ体制で、PFAS除去に向けた活性炭および水処理ソリューションを展開しています。
会社概要
| 項目 | 内容 |
| 社名 | 株式会社クラレ(KURARAY CO., LTD.) |
| 設立 | 1926年(大正15年)6月(2026年に創立100周年) |
| 本社所在地 | 東京都千代田区大手町2-6-4 常盤橋タワー(登記上の本店:岡山県倉敷市) |
| 上場 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード:3405) |
| 主な事業 | 機能性樹脂(エバール/クラレポバール)、エラストマー、繊維・人工皮革(クラリーノ)、活性炭、不織布、メディカルなどの素材・化学品 |
| PFAS関連の位置づけ | 活性炭販売で世界シェアNo.1とされる。米Calgon Carbonを含むグループの知見を活かし、粒状活性炭(GAC)などを用いたPFAS除去ソリューションを提供。 |
クラレは、人造絹糸レーヨンの国産化を目的に1926年に創立された、日本を代表する総合化学(素材)メーカーです。
エバール(EVOH樹脂)やクラリーノ(人工皮革)など、 暮らしの身近なところで使われる素材を数多く手がけてきました。
その事業の一つに、長い歴史を持つ活性炭事業があります。
なぜ「活性炭」がPFAS対策の主役なのか
PFASは化学的に安定で分解されにくいため、 水から取り除くには、物理的・化学的に「つかまえる」技術が必要になります。
その代表が、活性炭による吸着です。
活性炭は無数の細かな孔(あな)を持ち、 水に含まれる有機化合物を表面に吸着して取り除きます。
PFAS対策の先進国である米国では、すでに20年以上にわたり、 多くの水処理施設でPFAS対策として活性炭が導入されてきました。
2024年4月、米国環境保護庁(EPA)は飲料水中PFASに関する最終規制を公表し、PFOA・PFOSなどに対する基準値を設定しました。EPAは、粒状活性炭(GAC)を、陰イオン交換、逆浸透、ナノろ過と並ぶPFAS除去の利用可能な最善技術(BAT)の一つとして位置づけています。
なお、EPAは2026年5月に一部規制内容の見直し案も公表しており、米国のPFAS規制は今後も動向を確認する必要があります。
日本でも、PFOS・PFOAは2020年に水質管理目標設定項目に位置づけられ、暫定目標値は両者の合計で50ng/L以下とされています。さらに2026年4月からは、PFOS・PFOAが水道水の水質基準項目に追加され、国内でも除去技術への関心が高まっています。国内でも除去技術への関心が高まっています。
クラレの強み:Calgon Carbonと世界トップシェア
クラレの活性炭事業を語るうえで重要なのが、2018年に買収した米国のCalgon Carbonです。Calgon Carbonは、飲料水・排水・産業用途などで活性炭を提供してきた企業で、PFAS対策の先進国である米国でも水処理施設への導入実績を持ちます。
クラレ公式情報によれば、クラレグループは米国で20年以上、50以上の水処理施設において、PFAS対策として活性炭を導入してきた実績があります。デラウェア州の水処理施設では、2018年当時EPAの飲料水健康勧告値を超えていたPFAS濃度について、短期間で基準を満たすソリューションを提供した事例も紹介されています。
国内では、活性炭ブランド「クラレコール®」に加え、グループ会社のクラレアクアが、活性炭を用いたPFAS除去装置を設備・工事を含めたトータルソリューションとして提供しています。
活性炭という技術の特性と課題
一方で、活性炭による除去には、知っておきたい特性もあります。
活性炭は、PFOA・PFOSのような炭素鎖の長いPFASの吸着には強い一方で、 炭素鎖の短い「短鎖PFAS」は比較的とらえにくいとされています。
また、吸着能力には限りがあるため、定期的な交換が必要になります。
使用済みの活性炭の輸送や、再生・焼却処理にもエネルギーやコストがかかります。
こうした課題があるからこそ、活性炭だけでなく、 イオン交換樹脂や分離膜など、複数の技術を状況に応じて組み合わせる考え方が重要になります。
どの技術が適しているかは、対象となる水の性質や、含まれるPFASの種類によって変わります。
使用済み活性炭の「管理」という論点
一方で、活性炭によるPFAS除去では、使用済み活性炭をどのように回収・再生・処分するかも重要な論点です。
2023年に明らかになった岡山県吉備中央町の水道水PFOA汚染では、使用済み活性炭の保管・管理が問題視されました。報道では、使用済み活性炭からPFOAが流出し、水源に影響した可能性が指摘されています。
一連の報道では、使用済み活性炭の取引や管理の経緯も取り上げられました。この事案は、特定企業の責任の有無とは別に、PFASを吸着した使用済み材を最後まで適切に管理することの重要性を示すものです。
この事案は、特定企業の責任の有無とは別に、PFASを吸着した使用済み材を最後まで適切に管理することの重要性を示すものです。
PFAS対応の“地図”のなかでの位置づけ
PFASを「取り除く」技術には、大きく分けて、 活性炭(吸着)・イオン交換樹脂(吸着)・分離膜(ろ過)という選択肢があります。
クラレが担うのは、このうち最も歴史が長く、実績の厚い活性炭の柱です。
製造業や自治体、水道事業者にとって、 PFASの検出が確認された次の段階で必要になるのが、こうした「取り除く」技術の選定です。
ただし、本記事は各社の立ち位置を示す“地図”であって、 個別のケースで最適な技術を判断するものではありません。
自社の水や設備にどの方法が合うのかは、 状況を整理したうえで、専門家とともに見極めていくことをおすすめします。
PFAS Solutions+では、「測る」「取り除く」「使わない」の各層を担う企業を、 できるだけ中立的な視点で整理してお伝えしていきます。
まとめ
PFASを水から「取り除く」主力技術の一つが、活性炭による吸着です。
米国EPAは、粒状活性炭(GAC)をPFAS除去の利用可能な最善技術(BAT)の一つに位置づけています。
クラレは、Calgon Carbonを含むグループ体制により、活性炭販売で世界シェアNo.1とされ、クラレコール®やクラレアクアを通じてPFAS除去ソリューションを展開しています。
一方で、短鎖PFASへの対応や使用済み活性炭の管理には課題もあり、イオン交換樹脂・分離膜などとの使い分けが重要です。
参考・出典
※本記事は、株式会社クラレおよびグループ各社の公開情報をもとに、PFAS Solutions+が編集・要約したものです。最新かつ正確な情報は、同社公式サイトをご確認ください。































