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PFOS・PFOA対策の浄水処理施設|粒状活性炭とイオン交換樹脂の仕組みと選び方

2026.03.28

PFOS・PFOA対策の浄水処理施設|粒状活性炭とイオン交換樹脂の仕組みと選び方
2026年4月1日から水質基準項目となったPFOS・PFOA。基準値(合計50ng/L)を超過した場合、水道事業者は濃度を継続的に低減するための浄水処理施設の整備が必要になります。
現在、PFOS・PFOA除去に実績のある浄水処理方法は主に2種類です。

  • 粒状活性炭(GAC)処理
  • イオン交換処理

本記事では、それぞれの仕組み・特徴・選定のポイントと、処理後に発生する使用済材料の適正な廃棄・保管方法を解説します。

粒状活性炭(GAC)処理とは

仕組み

粒状活性炭処理は、多孔質・疎水性の炭素表面にPFOS・PFOAを物理吸着させて除去する方法です。石炭系・ヤシ殻系など原料・製造法によって吸着性能が異なります。
もともとは農薬類・臭気物質など凝集処理では除去しにくい低分子有機物の除去を目的に広く普及していますが、PFOS・PFOAにも高い除去効果が確認されています。

注意すべき特性

共存有機物による吸着阻害

処理水中に他の有機物が多い場合、PFOS・PFOAの吸着が阻害されることがあります。実際に処理する水を使った実証実験で適切な炭種を選定してください。

脱着リスク

PFOS・PFOAを十分に吸着した炭に、それより低濃度の水を通すと、吸着したPFOS・PFOAが逆に溶出(脱着)する場合があります。高濃度原水を処理した後に低濃度の水源に切り替える場合は、新炭への交換を検討してください。

PFOAはPFOSより破過が早い

一般的に、PFOAはPFOSより先に活性炭の吸着能が飽和します。PFOAの破過曲線を交換時期判断の基準とすることが重要です。

微粉・微生物の問題

活性炭の微粉が処理水に混入するリスクがあるため対策が必要です。また、長期使用で微生物が増殖することがあるため、定期的な逆洗浄と洗浄排水池等の整備も必要です。

交換時期の設定

運転開始後からのモニタリングと実験(RSSCTなど)で得られたPFOS・PFOAの破過曲線を基に設定します。従来のTOC等の有機物を基準とした交換周期よりも早い交換が必要になることが多いため、注意してください。
全槽を同時に交換すると処理水濃度の変動が大きくなるため、各槽をずらして順番に交換することで処理水質を平準化します。

イオン交換処理とは

仕組み

イオン交換処理は、イオン交換樹脂が保持するイオン(OH⁻など)とPFOS・PFOAを交換し吸着・除去する方法です。PFOS・PFOAはアニオン(陰イオン)性物質であるため、陰イオン交換樹脂が使われます。
弱塩基性と強塩基性の2種類があり、製造法・水質によって性能が異なります。実際に処理する水を用いた実証実験で適切な樹脂を選んでください。

注意すべき特性

共存イオンによる阻害:硝酸イオンなど共存塩が多い水では、PFOS・PFOAの吸着が阻害され、樹脂の交換時期が短くなります。
PFOAはPFOSより破過が早い:粒状活性炭と同様に、PFOAはPFOSより早く破過します。

交換時期の設定

モニタリングと実験で得られた破過曲線を基に設定します。

粒状活性炭 vs. イオン交換樹脂:どちらを選ぶか
比較項目 粒状活性炭 イオン交換樹脂
主な除去対象 有機物全般・PFOS/PFOA イオン性物質・PFOS/PFOA
共存物質の影響 有機物が多いと吸着阻害 共存塩(硝酸等)が多いと阻害
導入実績 国内外で多数 近年増加中
交換頻度  TOC管理より高頻度になる傾向 共存塩の多い水では短期交換が必要
洗浄設備  逆洗設備・洗浄排水池が必要  再生・廃棄処理が必要

水道原水の水質(有機物量・共存イオン・PFOS/PFOA濃度)によって最適な方式は異なります。どちらが適切かは、実際の原水を用いた実証実験で判断することが推奨されています

使用済活性炭・使用済イオン交換樹脂の保管・廃棄・再生

PFOS・PFOAを吸着した使用済活性炭や使用済イオン交換樹脂は、適切に管理されている限りは直ちに環境中に放出されるわけではありません。しかし、屋外で野積みにして雨水にさらされるなど不適切な管理をすると、PFOS・PFOAが溶出して周辺環境を汚染するリスクがあります。

保管のポイント

  • 屋内で保管する、または雨水が当たらないよう覆いをする
  • 定期的に保管状況を確認する
  • 廃棄物として保管する場合は廃棄物処理法の保管基準に従い、飛散・流出防止措置を講じる

廃棄のポイント

使用済活性炭のPFOS・PFOA濃度が5.0 µg/kg-dryを超過している場合は、「PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」(環境省)に沿って適正に処理します。廃棄物処理業者にはPFOS・PFOA含有情報を適切に提供する必要があります。

再生(リサイクル)のポイント

使用済活性炭の再生を委託する場合は、PFOS・PFOAが含まれていることを再生事業者に事前に伝え、受入可能かどうかを確認します。再生事業者において、排水・排ガスを通じたPFOS・PFOAの環境放出防止の取り組みが行われていることを確認したうえで委託してください。

暫定措置としての仮設浄水処理施設

新たな浄水処理施設の整備が完了するまでの暫定的な対応として、仮設の粒状活性炭・イオン交換樹脂処理設備を導入することも選択肢の一つです。既存施設の一部(緩速ろ過池など)を転用してPFAS除去施設として活用する事例も報告されています。
仮設施設の能力は必ずしも計画水量に対応している必要はなく、「給水栓等の水質を基準値以下にする」ことを目標として設計を検討します。

まとめ

PFOS・PFOA除去のための浄水処理施設の導入を検討する際は、まず原水の水質(有機物・共存イオン・PFAS濃度)を把握し、粒状活性炭・イオン交換樹脂のどちらが適切かを実証実験で確認することが重要です。導入後は破過曲線をモニタリングして適切な時期に交換し、使用済材料は環境法令に従い適正に保管・廃棄・再生してください。

参考:国土交通省「水道事業者等によるPFOS及びPFOA対応マニュアル」(令和8年3月27日)、環境省「PFOS等を含む水の処理に用いた使用済活性炭の適切な保管等について」(令和7年3月)

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