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フランスのPFAS製品禁止が2026年1月に施行|対象製品・閾値・在庫の扱いと日本企業への影響

2026.03.05

フランスでは、2026年1月1日から、PFASを含む特定の消費者向け製品について、製造・輸入・輸出・上市を禁止する規制が法令上施行されています。

対象は化粧品、スキー用ワックス、消費者向けの衣類・履物とその防水剤です。根拠となるのは2025年2月27日の法律第2025-188号、同年2月28日の公布(通称:PFAS規制法)と、2025年12月28日付の施行政令(デクレ第2025-1376号)です。

EU全体のユニバーサルPFAS制限案(REACH)はまだ審議中ですが、フランスは加盟国として一足先に国内規制を動かし始めました。フランス市場に製品を投入している日本企業にとっては、「EU規制はまだ先」という認識のままでは間に合わない状況になっています。

本記事では、禁止の対象・閾値・在庫の扱い・適用除外を整理し、日本の輸出企業が確認すべきポイントをまとめます。


この記事のポイント

  • 2026年1月1日から、PFASを含む化粧品・スキー用ワックス・消費者向け衣類/履物・その防水剤の製造・輸入・輸出・上市がフランスで禁止されました。
  • 施行前に製造された製品には12か月の経過措置があり、在庫販売は2027年1月1日までに限られます。
  • 閾値は3段階(個別PFAS 25ppb/PFAS合計 250ppb/総フッ素 50ppm)で、3つすべてを満たす必要があります。
  • 2030年1月1日からは、原則すべての繊維製品に禁止が拡大されます。
  • 日本国内には同種の製品規制がないため、「国内向けは適法でも仏市場には出せない」という状態が生じています。

何が禁止されたのでしょうか

2026年1月1日以降、次の製品にPFASが含まれる場合、フランスでの製造・輸入・輸出・上市(有償・無償を問わず)が禁止されています。

  • 化粧品
  • スキー用ワックスなどのワックス製品
  • 消費者向けの衣類(繊維製品)・履物
  • 衣類・履物用の防水剤(撥水スプレー等)

なお、当初の法案に含まれていた調理器具(フライパン等)は、国内産業への配慮から対象外となりました。食品接触材はEUの包装・包装廃棄物規則(PPWR)側で扱われる整理です。

2030年1月1日からは、対象が原則すべての繊維製品に拡大されます(必須用途・国家主権・代替技術がない産業用途などは政令で定める例外あり)。

「PFASを含む」と判断される3つの閾値

施行政令(デクレ第2025-1376号)は、禁止が適用されない残留濃度の閾値を次のように定めています。

  1. 個別のPFAS(ターゲット分析・ポリマー除く):25ppb
  2. PFASの合計(ターゲット分析の合計・必要に応じ前駆体の分解処理を含む・ポリマー除く):250ppb
  3. 総フッ素含有量(ポリマーを含む):50ppm

この3つは同時に適用されると解されており、いずれか1つでも超えれば規制対象になり得ます。また、総フッ素が50mg F/kgを超えた場合、当局の求めに応じて、そのフッ素分がPFAS由来か否かの立証責任が事業者側に生じます。

PFASの定義は「完全にフッ素化されたメチル基(CF3-)またはメチレン基(-CF2-)を少なくとも1つ含む物質」というOECD定義ベースで、EUのユニバーサルPFAS制限案と整合しています。特定のCAS番号リストは示されていません。

なお、本記事は、フランス法令および公表資料をもとに、2026年7月時点で確認できる情報を整理したものです。実際の適用可否は、製品の用途、販売形態、サプライチェーン、分析方法によって異なるため、個別案件では専門家・検査機関・現地輸入者等への確認が必要です。

在庫はいつまで売れるのでしょうか

2026年1月1日より前に製造された製品については、12か月の経過措置が設けられています。つまり、既存在庫の上市・輸出は2027年1月1日までに限られます。

この期間を過ぎると、施行前製造の在庫であっても販売できなくなります。フランス向けの在庫を抱えている企業は、2026年中に売り切るか、他市場への転用を判断する必要があります。

適用除外

主な適用除外は次のとおりです。

  • EU規則2016/425に基づく個人用保護具(PPE)、軍・治安・市民保護向けの装備
  • 上記PPEの再撥水加工用の防水剤
  • ポストコンシューマー・リサイクル材を20%以上含む衣類・履物(PFASの存在がリサイクル部分に限られ、使用量に比例する範囲であること)

日本企業への実務的な影響

フランス市場に関わる日本企業にとって、確認すべきポイントは次の3点です。

第一に、対象製品の棚卸しです。アパレル・スポーツ用品・化粧品・撥水スプレー類でフランス向け出荷(EU域内の販売網経由を含む)があるかを確認します。撥水・防汚・耐久加工をうたう製品は特に注意が必要です。

第二に、サプライチェーンの確認です。フランスの政令にはPFASの物質リストがないため、SDSや含有調査票だけでは判定しきれない場合があります。ターゲット分析+総フッ素分析(LC-MS/MS、燃焼イオンクロマトグラフィーなど)による実測での確認が実務上の選択肢になります。

第三に、時間軸の把握です。2027年1月の在庫販売期限、2030年1月の繊維製品全体への拡大、そして並行して進むEUのユニバーサルPFAS制限案。フランスの閾値はEU制限案と整合的に設計されているため、フランス対応は将来のEU全体対応の先行投資と位置づけることができます。

日本との対比

日本では2026年4月に水道水質基準(PFOS・PFOA合計50ng/L)が義務化されましたが、消費者製品へのPFAS含有を包括的に禁止する規制はありません。

このため、「日本国内では適法に販売できる製品が、フランスには出せない」という状態がすでに生じています。規制の非対称は、輸出企業にとってはコンプライアンス上の課題であると同時に、「PFASフリー」対応を先行させた企業にとっては欧州市場での差別化要因にもなります。

まとめ

フランスの規制で注目すべきは、個別物質のリスト方式ではなく、「定義+閾値」方式を採ったことです。総フッ素50ppmという指標は、個別分析では捕捉しきれないPFAS(前駆体やポリマーを含む)を面で捉える発想であり、EUのユニバーサル制限案とも地続きです。

「規制物質リストに載っているかどうか」ではなく「フッ素が入っているかどうか」で問われる時代への移行が、フランスで先に始まった――これが日本の製造業にとっての本質的な意味だと考えます。

対応の第一歩は、自社製品・資材の含有状況を「知る」ことです。何から始めればよいか迷われる場合は、お気軽にご相談ください。 

EU輸出・PFASコンプライアンス サービスページへ

よくある質問

Q1. フランスのPFAS製品禁止は、EU全体の規制ですか?

いいえ。今回の規制は、EU全体のREACH制限案ではなく、フランス独自の国内規制です。

EU全体では、PFASを包括的に制限するREACH制限案の審議が続いています。一方で、フランスはそれに先行して、化粧品、ワックス製品、消費者向け衣類・履物、その防水剤について、2026年1月1日から国内規制を施行しています。

Q2. 日本企業も対象になりますか?

はい。フランス市場に製品を出す場合、日本企業にも影響があります。

日本から直接フランスへ輸出する場合だけでなく、EU域内の販売会社、商社、EC、ブランド、代理店を通じてフランス市場に入る場合も確認が必要です。「日本国内では販売できる」ことと「フランスで上市できる」ことは別の問題です。

Q3. 対象になる製品は何ですか?

2026年1月1日から対象となるのは、主に次の製品です。

  • 化粧品
  • スキー用ワックスなどのワックス製品
  • 消費者向けの衣類・履物
  • 衣類・履物用の防水剤、撥水スプレー等

2030年1月1日からは、原則としてすべての繊維製品に対象が広がります。ただし、必須用途や一部の産業用途などには例外が設けられる場合があります。

Q4. 在庫はいつまで販売できますか?

2026年1月1日より前に製造された製品については、12か月の経過措置があります。

そのため、既存在庫の上市・輸出は2027年1月1日までに限られます。2027年1月1日以降は、施行前に製造された在庫であっても、フランス市場では販売できなくなります。

Q5. SDSにPFASの記載がなければ大丈夫ですか?

SDSだけでは十分とは限りません。

フランスの規制は、特定のCAS番号リストだけを見る方式ではなく、PFASの定義と閾値に基づいて判断されます。そのため、SDSや含有調査票で確認できない場合でも、必要に応じてターゲット分析や総フッ素分析による確認が必要になることがあります。

Q6. 「PFASフリー」と表示していれば問題ありませんか?

表示だけでは不十分です。

フランス向けに販売する場合は、表示や仕入先回答だけでなく、必要に応じて分析結果、サプライヤーからの証明、製造工程の確認など、説明できる根拠を持っておくことが重要です。

Q7. まず何から確認すればよいですか?

最初に確認すべきなのは、自社製品が対象カテゴリに入るかどうかです。

特に、アパレル、履物、スポーツ用品、アウトドア用品、化粧品、撥水スプレー、ワックス製品を扱う企業は、フランス向け販売の有無、PFAS使用の可能性、在庫の製造時期、分析・証明の有無を整理しておく必要があります。

出典・参考情報

  • フランス法律第2025-188号(2025年2月28日公布)
  • フランス政令(デクレ)第2025-1376号(2025年12月28日付、官報2025年12月30日掲載)
  • JETROビジネス短信「2026年1月1日からフランスでPFAS含有の化粧品、衣類などの製造、輸出入、市場投入を禁止」(2025年3月) https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/03/3a703ccc382b5d4f.html
  • SGS Safeguards 00626「France Publishes Updated PFAS Regulation for Consumer Products」(2026年1月)
  • TÜV SÜD「France: New PFAS limits are now finalised」

図1
フランスPFAS製品禁止の全体像
2026年対象、2030年拡大、EU REACHは審議中、という位置づけを1枚で見せる図。

図2
2026年から禁止される対象製品
化粧品/ワックス/衣類・履物/防水剤を4分割で見せる図。

図3
3つの閾値:25ppb・250ppb・50ppm
個別PFAS、PFAS合計、総フッ素の違いを整理。

図4
日本企業が確認すべき3ステップ
対象製品の棚卸し → サプライチェーン確認 → 分析・証明・在庫対応。

アイキャッチは、
「フランスPFAS製品禁止 2026年施行」
を中央に大きく置くのが良いです。

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