明石市のPFOS・PFOA対応事例|河川水源の水運用と活性炭処理の強化策
兵庫県明石市は、神戸市に隣接する人口約30万人の中核市です。明石川浄水場と鳥羽浄水場の2か所で浄水処理を行い、湖沼水・深井戸水・水道用水供給事業(用供)からの受水を組み合わせて給水しています。明石市の事例は、河川水と地下水を混合する複雑な水源構成の中でPFOS・PFOAへの対応を求められた点が特徴的です。
検出の経緯
明石川浄水場および鳥羽浄水場において、河川系原水と地下水系原水を混合した原水で暫定目標値を超過するPFOS・PFOAが検出されました。一方、浄水(給水栓)では超過はなく、浄水処理の効果が一定程度機能していたことが確認されています。
詳細な調査の結果、河川水(明石川)原水が高濃度の汚染源であることが判明。PFOSの検出は極めわずかであったため、PFOAのみを重点的に測定する方針を採りました(河川水取水口・貯水池は月1回、明石川浄水場系統の地下水系原水は年4回)。
応急的対応
①水源比率の変更(令和2年度)
明石川浄水場では、河川水と地下水の混合比率において地下水の割合を増加させる水運用を実施しました。
鳥羽浄水場では、河川水・地下水・水道用水供給事業からの受水のうち、受水の割合を増加させることで高濃度河川水の影響を薄める対応を取りました。
②活性炭処理の強化
明石川浄水場では、高度処理施設の粒状活性炭(GAC)の交換周期を短縮することで、PFOS・PFOAの除去率を向上させました。
鳥羽浄水場では、河川から取水した水道原水に対して粉末活性炭(PAC)を投入した上で浄水場へ送水し、PFAS除去を強化する処理を実施しました。
③降雨時の積極的な河川水貯留
明石川では、降雨後に水量が増えPFOS・PFOA濃度が相対的に低下するタイミングがあります。このタイミングを捉えて積極的に河川から直接取水し、野々池貯水池(水道原水用)に貯留することで、貯留水全体のPFOS・PFOA濃度を引き下げる運用を行いました。さらに浄水場内で地下水と混合することで、より一層の濃度低減を図っています。
④住民への情報提供
ホームページにおいて、「河川水が高濃度であっても浄水処理によって水道水には問題がない」旨を随時わかりやすく説明し、住民の不安解消に努めました。
中期的対応
最大の課題は明石川河川水の水量・水質の不安定性でした。降雨量や季節によって濃度が大きく変動するため、恒常的な安全確保が困難な状況でした。
そこで明石市は以下の長期的な方針を決定しました。
令和7年度(2025年度)から:水源を明石川河川水の取水から、阪神水道企業団からの水道水の受水に切り替え、河川水からの取水量を大幅に低減
令和10年度中(2028年度中):明石川河川水からの取水を完全廃止
この方針により、直近の測定ではPFOS・PFOA濃度を5〜10ng/L以下に抑制することに成功しています。
現在の状況
明石市の給水栓では、現在PFOS・PFOAの暫定目標値(50ng/L)以下で給水が行われています。段階的な水源切り替えの計画に従い、より安定した水質管理体制への移行が進められています。
まとめ
明石市の事例は、複数の水源を組み合わせた複雑な水道システムにおけるPFAS対応として参考になります。降雨パターンを活用した貯留戦略、活性炭処理の強化、そして長期的な水源切り替え計画という多層的なアプローチは、同様の河川水を水源とする水道事業者にとって特に示唆に富む対応事例です。









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