【第2回】PFAS専門家会議(2023年3月28日)完全解説|PFOS・PFOA以外の対応方針と確認事項
2023年3月28日、東京・霞が関の環境省第一会議室。「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」の第2回が開催されました。
第1回で「PFASの全体像と議論の土台」を整理した流れを受け、第2回ではより踏み込んだ内容が議論されました。特に注目すべきは「PFOS・PFOA以外のPFAS」への対応方針の検討です。
この記事では、第2回の会議について「どこで開かれたか」「何が議論され」「何が確認・決定されたか」を公式資料をもとに詳しく解説します。
第2回が開かれた背景
第1回(2023年1月)では、PFASの全体像の整理と「何を議論すべきか」の枠組みが確認されました。
しかし第1回を終えた段階でも、以下の課題が未解決のまま残っていました。
- PFOS・PFOA以外の数多くのPFASへの対応方針がない
- 地下水汚染の実態と対応策が不明確
- 国内の検出データの詳細な分析がまだ不十分
- 暫定目標値(50ng/L)の見直し検討をどう進めるかの方向性が未確定
- こうした積み残し課題に向き合うのが第2回の役割でした。
会議の基本情報
- 開催日時 2023年(令和5年)3月28日(火)
- 開催場所 環境省第一会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)
- 開催形式対面・オンライン併用/YouTube公開事務局環境省 水・大気環境局 水環境課基準係
配付資料一覧
- 資料1 PFOS・PFOAの国際動向(更新版)
- 資料2 PFOS・PFOA以外のPFASの国際動向(更新版)
- 資料3 PFOS・PFOAの国内検出状況(詳細分析)
- 資料4 PFOS・PFOA以外のPFASの国内検出状況
- 資料5 暫定目標値の取扱いについての検討状況
- 参考資料 各種WHO・米国EPA等の最新動向資料
議事次第
- 開会
議題 - (1)PFOS・PFOAの国内外の動向について
(2)PFOS・PFOA以外のPFASへの対応について
(3)暫定目標値等の取扱いについて
(4)その他 - 閉会
第2回で確認・決定されたこと
確認事項①:PFOS・PFOA以外のPFASの優先順位付けの方向性
1万種類以上あるPFASのうち、どれを優先的に対応すべきかについて議論が行われ、以下の方向性が確認されました。
優先度が高いと判断された物質
| 物質名 | 理由 | ||
| PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸) | PFOS代替として使用が増加。2022年にPOPs条約の規制対象に追加。環境中での検出が増加。 | ||
| PFNA(ペルフルオロノナン酸) | 食品・水道水での検出事例あり。毒性データが蓄積されてきた。 | ||
| PFHxA・PFHpA等の短鎖PFAS | 長鎖PFASの代替として使用が拡大。規制の空白地帯になっている。 | GenX化合物(HFPO-DA) | PFOA代替として開発されたが健康影響が懸念。米国での汚染事例が報告。 |
方針として、これらの物質について国内での検出状況の把握・健康影響評価・国際動向のフォローを継続し、段階的に管理・規制の対象を拡大していくことが確認されました。
確認事項②:地下水汚染の実態と対応の必要性
公共用水域・地下水の検出状況について、以下が確認されました。
- 暫定目標値超過地点は主に都市部・基地周辺・工場周辺に集中している
- 地下水汚染は水道水の汚染より広範囲・深部に及んでいる可能性がある
- 水道を使わずに井戸水を利用している人へのリスク対応が特に不十分
→ 井戸水利用者への情報提供・飲用中止の指導体制の整備を急ぐ必要があることが確認されました。
確認事項③:暫定目標値の見直し検討の方向性
現行の暫定目標値(50ng/L)について以下が確認されました。
- 2020年の設定時点の科学的知見をもとにしたものであり、その後科学が進歩している
- 米国・EUの動向を踏まえると、より厳しい値への見直しを検討すべき
- ただし「科学的知見に基づいた慎重な検討」が前提であり、数値の改定は専門的な審議が必要
→ 次回(第3回)以降、「対応の方向性」の中で水質基準化の方向性を検討することが確認されました。
確認事項④:国際動向のフォローアップ体制
- WHO飲料水水質ガイドラインの改定作業を継続フォロー
- 米国EPA・欧州EFSAの最新評価を定期的に参照
- POPs条約での新たなPFASの規制拡大動向を注視
第2回の重要ポイント
ポイント①:「PFAS全体」で考える枠組みが固まった
PFOS・PFOAだけでなく、PFHxS・PFNA・GenX化合物など多数のPFASを含む「総合的な対応」の必要性が明確になりました。これは日本のPFAS規制が「個別物質の規制」から「PFAS全体の管理」へと考え方を転換する重要な転換点でした。
ポイント②:地下水汚染の深刻さが共有された
水道水の管理だけでなく、地下水全体の汚染状況を把握・管理することの重要性が強調されました。特に「水道を使わずに井戸水を使っている人」へのリスク管理が課題として明確になりました。
ポイント③:国際動向との整合性を重視
EU・米国の規制強化の動向を踏まえながら、日本として科学的・予防的な対応を取ることの必要性が確認されました。「国際水準に遅れない」という意識が委員間で共有されました。
第2回で示された今後の方向性
第2回を受けて、以下の方向性が示されました。
- PFOS・PFOA以外のPFASについて優先度を付けて段階的に対応を進める
- 地下水を含む広範囲の汚染実態把握を強化する
- 暫定目標値の見直しを「対応の方向性」の中に盛り込む方向で検討を進める
- 次回(第3回)でQ&A集の内容骨格と「対応の方向性」の骨格を議論する
まとめ
第2回専門家会議は「PFOS・PFOAを超えた、PFAS全体への対応」という日本の方針の骨格が固まった回です。
「まず目の前の問題(PFOS・PFOA)を対処して終わり」ではなく、「代替物質を含むPFAS全体を継続的に監視・管理する体制を作る」という長期的な視野が確立されました。この方針はその後の化審法によるPFHxS規制(2024年2月)として実を結んでいます。
次の第3回では、住民への情報発信のための「Q&A集」の策定と「対応の方向性」の議論が本格化します。
資料・議事録へのリンク
議事次第・配付資料:https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas_00002.html
議事録:https://www.env.go.jp/content/000127863.pdf









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