【第4回】PFAS専門家会議(2023年7月25日)完全解説|「対応の方向性」4つの柱と全決定内容
2023年7月25日、東京・霞が関の環境省。「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」の第4回が開催されました。
この回はこの会議の最大の山場です。約半年にわたる議論の集大成として「PFASに関する今後の対応の方向性」が正式に取りまとめられ、公表されました。この文書は日本のPFAS政策の転換点となった歴史的な成果物です。
この記事では、第4回の会議について 公式資料をもとに、わかりやすく解説します。
第4回が開かれた背景
第3回(2023年6月)でQ&A集の骨格と「対応の方向性」の骨格について委員間の合意が形成されました。第4回はその内容を正式文書として取りまとめる「決定回」として位置づけられていました。
特に「水質基準への格上げ」という重要な政策判断を、専門家会議として正式に文書化することが求められていました。この一文が入ることで、環境省の審議会・省令改正への道が開かれるからです。
会議の基本情報
開催日時 2023年(令和5年)7月25日(火)
開催場所 環境省(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)
開催形式 対面・オンライン併用/YouTube公開事務局環境省 水・大気環境局 水環境課基準係
配付資料一覧
資料1 PFASに関する今後の対応の方向性(最終案)
資料2 PFOS・PFOAに関するQ&A集(2023年7月時点)
参考資料 各種PFOS・PFOA国内外動向・健康影響・モニタリング関連資料
議事次第
- 開会
議題 - (1)PFASに関する今後の対応の方向性(最終案)の確認・取りまとめ
(2)PFOS・PFOAに関するQ&A集の確認
(3)その他 - 閉会
第4回で決定されたこと
決定事項①:「PFASに関する今後の対応の方向性」の正式取りまとめ・公表
4つの柱の詳細は以下の通りです。
【柱1】PFOS・PFOAの管理の強化
(ア)水質基準等への格上げ
- 水道水のPFOS・PFOAを「水質管理目標設定項目(暫定目標値)」から「水質基準項目」に格上げする
- 河川・地下水のPFOS・PFOAについても「要監視項目(指針値・暫定)」から「指針値(確定)」に見直す
- 「今春を目処に水道水質基準を策定」する方向で関係審議会で検討
(イ)排出源対策の強化
- PFOS・PFOA含有泡消火薬剤の代替促進を各省庁が連携して推進
- PFOS・PFOA含有廃棄物の適正処理の推進
- 水環境中の存在状況に関する調査の強化
【柱2】暫定目標値等を超えてPFOS等が検出されている地域等への対応
(ア)飲用によるばく露の防止の徹底
- 汚染が確認された水道水源からの取水停止・代替水源確保を水道事業者に要請
- 井戸水利用者への飲用中止の指導・助言体制の整備
- 「対応の手引き」(地方公共団体向け)を充実させ、追加調査・濃度低減措置の参考情報を強化
(イ)地域住民の健康状態の把握
- 自治体が地域保健活動の一環として、既存統計(がん罹患率・低体重児届出情報・コレステロール値等)を活用して地域の健康状態を把握する
- 把握結果を住民に向けて積極的に情報発信する
- 血液検査については「科学的に個人の健康影響判断が困難」という立場を維持しつつ、疫学研究としての活用を検討
【柱3】その他のPFASへの対応
- PFHxSについて:2022年のPOPs条約規制対象追加を受け、化審法に基づく規制(第一種特定化学物質への指定)を検討
- その他のPFASについて:リスク管理の優先度が高い物質群を抽出するための有害性評価を推進
- PFAS一斉分析法の開発に向けた検討を開始
【柱4】PFASに関する更なる科学的知見の充実等
- PFAS総合研究の推進(公募研究の実施)
- 化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(血中濃度調査)の継続
- エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)でのPFASデータの活用
- 国際機関・各国の動向の継続的なフォローアップ
決定事項②:PFOS・PFOAに関するQ&A集(2023年7月版)の公表
第3回で骨格が確定したQ&A集が第4回で正式に完成・公表されました。
* この初版(2023年7月版)は後に2024年8月版に更新されています。
第4回の重要ポイント
ポイント①:「水質基準化」の方向性が確定した
この回で「暫定目標値→水質基準」への格上げが政策の方向性として文書化されました。
「いつ」という時期は明示されませんでしたが、専門家会議として合意したことで、その後の省庁間協議・省令改正への道が開かれました。
これが2026年4月施行につながります。
ポイント②:住民への情報発信が政策として位置づけられた
「住民への情報発信は義務ではなく当然のこと」という姿勢が、国の公式文書に明記されました。
自治体が積極的にPFAS情報を発信し、住民の不安に応えることが政策として求められるようになりました。
ポイント③:「PFAS全体」の総合管理への転換が確定
PFOS・PFOAだけでなく、すべてのPFASを視野に入れた「総合的な管理体制の構築」という大きな方向性が正式文書として確定しました。
日本のPFAS政策が「個別対応」から「体系的管理」へと転換した歴史的な転換点です。
「対応の方向性」のその後の影響
| 決定内容 | その後の実現 |
| 水質基準への格上げ | 2025年6月省令公布→2026年4月施行 ✅ |
| 対応の手引きの充実 | 2024年11月「第2版」公表 ✅ |
| PFHxSの規制 | 2024年2月 化審法第一種特定化学物質に指定 ✅ |
| PFAS総合研究の推進 | 2024年度から新規研究課題を採択・開始 ✅ |
| PFAS一斉分析法の開発 | 2023年9月から検討開始 ✅ |
| 住民向けリーフレット作成 | 2024年7月公表 ✅ |
まとめ
第4回専門家会議は「日本のPFAS政策の転換点」となった回です。
この会議以前は「暫定目標値があるが法的義務ではない」「総合的な政策方針がない」という状態でした。
第4回以降は「水質基準化の方向性が確定し、各施策が動き始めた」状態に変わりました。
「対応の方向性」という文書の取りまとめが、その後の日本のPFAS政策のすべての出発点になっています。
次の第5回(2024年8月)では、この方向性に基づいた取り組みの進捗が確認されます。
資料へのリンク
「PFASに関する今後の対応の方向性」(全文):https://www.env.go.jp/content/000150418.pdf
同(概要):https://www.env.go.jp/content/000150420.pdf
議事次第・配付資料:https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas_00004.html
議事録:https://www.env.go.jp/content/000155343.pdf









-水道法PFAS義務化と神戸・明石川の現状【2026年最新】.png)
:-「EU輸出企業向け完全対応ガイド.png)
















