環境省「PFAS総合戦略検討専門家会議」とは?16名の委員・全会場・5回の議論を完全解説
環境省「PFAS総合戦略検討専門家会議」とは?5回の議論の流れを完全解説
「PFAS(有機フッ素化合物)の問題って、国はどう考えているの?」「水道水の基準はどうやって決まったの?」
この疑問の答えは、環境省が設置した「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」の議論の中にあります。
2023年から2024年にかけて全5回開催されたこの会議。専門家たちが何を議論し、どんな結論を出してきたのかを、PFAS Solution+ (旧PFAS研究所)が全5回分を通して解説します。
会議が設けられた背景
環境省は2023年1月、PFAS問題への総合的な対策を検討するために、学識経験者・研究者・専門家で構成される「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」を設置しました。
設置の背景には3つの問題意識がありました。
① 汚染が各地で発覚していた
沖縄・東京・神奈川などで水道水・地下水からPFOS・PFOA超過が相次いで報告され、住民の不安が高まっていました。
② 国際的に規制が急変していた
米国・EUがPFASへの規制を急速に強化しており、日本も対応方針の明確化が求められていました。
③ 住民への情報提供が不十分だった
「PFAS汚染地域の住民はどうすればいいのか」「健康への影響は?」という住民の疑問に答える公式情報が不足していました。
参加委員16名の全リスト
この会議には、環境化学・毒性学・公衆衛生・リスクコミュニケーション・水環境など各分野の第一線の専門家16名が参加しています。(2024年8月現在、五十音順、敬称略)
| 氏名 | 所属・役職 | 専門分野 |
| 浅見 真理 | 国立保健医療科学院 生活環境研究部 上席主任研究官 | 水道・水環境 |
| 奥 真美 | 東京都立大学 都市環境学部 教授 | 環境法・政策 |
| 開沼 博 | 東京大学大学院 情報学環 准教授 | リスクコミュニケーション・社会学 |
| 亀屋 隆志 | 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授 | 環境化学・分析 |
| 鯉淵 典之 | 群馬大学 副学長 | 公衆衛生・医学 |
| 酒井 伸一 | 公益財団法人京都高度技術研究所 副所長 | 廃棄物・環境管理 |
| 柴田 康行 | 国立環境研究所 名誉研究員 | 有機汚染物質分析 |
| 白石 寛明 | 国立環境研究所 名誉研究員 | リスク評価 |
| 鈴木 規之 | 国立環境研究所 企画部 フェロー | 環境リスク管理 |
| 高野 裕久 | 京都先端科学大学国際学術研究院 特任教授 | 毒性学・健康影響 |
| 谷保 佐知 | 産業技術総合研究所 研究グループ長 | PFAS分析技術 |
| 新田 裕史 | 国立環境研究所 名誉研究員 | 大気環境・健康影響 |
| 原田 浩二 | 京都大学大学院 医学研究科 准教授 | 環境疫学・PFAS健康影響 |
| 平田 健正 | 和歌山大学 名誉教 | 授水環境・地下水 |
| 広瀬 明彦 | 化学物質評価研究機構 技術顧問 | 毒性評価 |
| 松井 佳彦 | 早稲田大学 研究院客員教授 | 水道工学・水処理 |
委員の専門分野は環境化学・毒性学・公衆衛生・水道工学・リスクコミュニケーション・社会学にまたがっており、PFASが「科学・技術・健康・社会」の複合的な課題であることを反映した多彩なメンバー構成です。
特に注目すべき委員として、原田浩二委員(京都大学)はPFASの健康影響研究で国内屈指の実績を持ち、沖縄での血中濃度調査にも携わってきた専門家です。谷保佐知委員(産業技術総合研究所)はPFASの分析技術の第一人者です。
5回の会議の全体像
回開催日会場主なテーマ主な決定・確認事項
| 第1回2023年1月30日 | 環境省第一会議室(霞が関)会議 | 設置・概況整理・情報発信枠組み | 会議の役割確定・Q&A集骨格方針の確認 |
| 第2回2023年3月28日 | 環境省第一会議室(霞が関) | PFOS・PFOA以外のPFAS対応・検出状況分析 | PFHxS等の優先対応対象の方向性確認 |
| 第3回2023年6月15日 | AP東京八重洲 ROOM P | Q&A集策定・対応の方向性の議論 | Q&A集9問の骨格確定・リスクコミュニケーション3原則の合意 |
| 第4回2023年7月25日 | 環境省(霞が関) | 「対応の方向性」取りまとめ・公表 | 「PFASに関する今後の対応の方向性」を正式取りまとめ・公表 |
| 第5回2024年8月1日 | TKP東京駅カンファレンスセンター | 対応状況フォローアップ・Q&A集更新 | Q&A集(2024年8月版)更新・当面の主な取組の確認 |
開催形式は全回、対面とオンラインの併用で実施されました。第1回からYouTubeライブ配信で一般公開されており、誰でも傍聴できる透明性の高い運営が貫かれています。
最重要成果:「PFASに関する今後の対応の方向性」
第4回(2023年7月)に公表された「PFASに関する今後の対応の方向性」は、この会議の最大の成果物です。
主な内容は以下の4点でした。
- PFOS・PFOAの管理強化 暫定目標値の見直し検討・水道水質基準への引き上げの方向性
- 飲用ばく露の防止 汚染地域での対応手引きの充実・自治体への技術支援
- 住民への情報発信強化 Q&A集の作成・リスクコミュニケーションの推進
- 科学的知見の充実 研究の推進・血中濃度モニタリングの継続
この「方向性」がその後の2026年4月の水質基準改正へとつながっていきます。
まとめ
5回の専門家会議を一言でまとめると、「PFAS問題を個別対応から総合的な政策課題へと転換させた会議」です。
2023年1月の第1回から2024年8月の第5回まで積み重ねられた議論は、2026年4月の水質基準改正という具体的な政策変更として実を結びました。委員16名の専門知識と、透明性の高い公開討議が、日本のPFAS政策の土台を作っています。
各回の詳細解説記事
第1回:設置の背景・委員・初回議論の全容
第2回:PFOS・PFOA以外のPFAS対応方針
第3回:Q&A集策定とリスクコミュニケーション
第4回:「対応の方向性」取りまとめの全容
第5回:フォローアップと現在地の確認
資料・議事録へのリンク
専門家会議ページ:https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas.html
委員名簿:https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas_meibo.html
PFASに関する今後の対応の方向性:https://www.env.go.jp/content/000150418.pdf









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