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環境省「PFAS総合戦略検討専門家会議」とは?16名の委員・全会場・5回の議論を完全解説

2026.03.15

環境省「PFAS総合戦略検討専門家会議」とは?5回の議論の流れを完全解説
「PFAS(有機フッ素化合物)の問題って、国はどう考えているの?」「水道水の基準はどうやって決まったの?」
この疑問の答えは、環境省が設置した「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」の議論の中にあります。
2023年から2024年にかけて全5回開催されたこの会議。専門家たちが何を議論し、どんな結論を出してきたのかを、PFAS Solution+ (旧PFAS研究所)が全5回分を通して解説します。

会議が設けられた背景

環境省は2023年1月、PFAS問題への総合的な対策を検討するために、学識経験者・研究者・専門家で構成される「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」を設置しました。
設置の背景には3つの問題意識がありました。

① 汚染が各地で発覚していた

沖縄・東京・神奈川などで水道水・地下水からPFOS・PFOA超過が相次いで報告され、住民の不安が高まっていました。

② 国際的に規制が急変していた

米国・EUがPFASへの規制を急速に強化しており、日本も対応方針の明確化が求められていました。

③ 住民への情報提供が不十分だった

「PFAS汚染地域の住民はどうすればいいのか」「健康への影響は?」という住民の疑問に答える公式情報が不足していました。

参加委員16名の全リスト

この会議には、環境化学・毒性学・公衆衛生・リスクコミュニケーション・水環境など各分野の第一線の専門家16名が参加しています。(2024年8月現在、五十音順、敬称略)

氏名 所属・役職 専門分野
浅見 真理 国立保健医療科学院 生活環境研究部 上席主任研究官 水道・水環境
奥 真美 東京都立大学 都市環境学部 教授 環境法・政策
開沼 博 東京大学大学院 情報学環 准教授 リスクコミュニケーション・社会学
亀屋 隆志 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授 環境化学・分析
鯉淵 典之 群馬大学 副学長 公衆衛生・医学
酒井 伸一 公益財団法人京都高度技術研究所 副所長 廃棄物・環境管理
柴田 康行 国立環境研究所 名誉研究員 有機汚染物質分析
白石 寛明 国立環境研究所 名誉研究員 リスク評価
鈴木 規之 国立環境研究所 企画部 フェロー 環境リスク管理
高野 裕久 京都先端科学大学国際学術研究院 特任教授 毒性学・健康影響
谷保 佐知 産業技術総合研究所 研究グループ長 PFAS分析技術
新田 裕史 国立環境研究所 名誉研究員 大気環境・健康影響
原田 浩二 京都大学大学院 医学研究科 准教授 環境疫学・PFAS健康影響
平田 健正 和歌山大学 名誉教 授水環境・地下水
広瀬 明彦 化学物質評価研究機構 技術顧問 毒性評価
松井 佳彦 早稲田大学 研究院客員教授 水道工学・水処理

委員の専門分野は環境化学・毒性学・公衆衛生・水道工学・リスクコミュニケーション・社会学にまたがっており、PFASが「科学・技術・健康・社会」の複合的な課題であることを反映した多彩なメンバー構成です。
特に注目すべき委員として、原田浩二委員(京都大学)はPFASの健康影響研究で国内屈指の実績を持ち、沖縄での血中濃度調査にも携わってきた専門家です。谷保佐知委員(産業技術総合研究所)はPFASの分析技術の第一人者です。

5回の会議の全体像

回開催日会場主なテーマ主な決定・確認事項

第1回2023年1月30日 環境省第一会議室(霞が関)会議 設置・概況整理・情報発信枠組み 会議の役割確定・Q&A集骨格方針の確認
第2回2023年3月28日 環境省第一会議室(霞が関) PFOS・PFOA以外のPFAS対応・検出状況分析 PFHxS等の優先対応対象の方向性確認
第3回2023年6月15日 AP東京八重洲 ROOM P Q&A集策定・対応の方向性の議論 Q&A集9問の骨格確定・リスクコミュニケーション3原則の合意
第4回2023年7月25日 環境省(霞が関) 「対応の方向性」取りまとめ・公表 「PFASに関する今後の対応の方向性」を正式取りまとめ・公表
第5回2024年8月1日 TKP東京駅カンファレンスセンター 対応状況フォローアップ・Q&A集更新 Q&A集(2024年8月版)更新・当面の主な取組の確認

開催形式は全回、対面とオンラインの併用で実施されました。第1回からYouTubeライブ配信で一般公開されており、誰でも傍聴できる透明性の高い運営が貫かれています。

最重要成果:「PFASに関する今後の対応の方向性」

第4回(2023年7月)に公表された「PFASに関する今後の対応の方向性」は、この会議の最大の成果物です。
主な内容は以下の4点でした。

  1.  PFOS・PFOAの管理強化 暫定目標値の見直し検討・水道水質基準への引き上げの方向性
  2.  飲用ばく露の防止 汚染地域での対応手引きの充実・自治体への技術支援
  3.  住民への情報発信強化 Q&A集の作成・リスクコミュニケーションの推進
  4.  科学的知見の充実 研究の推進・血中濃度モニタリングの継続

この「方向性」がその後の2026年4月の水質基準改正へとつながっていきます。

まとめ

5回の専門家会議を一言でまとめると、「PFAS問題を個別対応から総合的な政策課題へと転換させた会議」です。
2023年1月の第1回から2024年8月の第5回まで積み重ねられた議論は、2026年4月の水質基準改正という具体的な政策変更として実を結びました。委員16名の専門知識と、透明性の高い公開討議が、日本のPFAS政策の土台を作っています。

各回の詳細解説記事

第1回:設置の背景・委員・初回議論の全容
第2回:PFOS・PFOA以外のPFAS対応方針
第3回:Q&A集策定とリスクコミュニケーション
第4回:「対応の方向性」取りまとめの全容
第5回:フォローアップと現在地の確認

資料・議事録へのリンク

専門家会議ページ:https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas.html
委員名簿:https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas_meibo.html
PFASに関する今後の対応の方向性:https://www.env.go.jp/content/000150418.pdf

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