【第5回】PFAS専門家会議(2024年8月1日)完全解説|フォローアップ・評価書反映・Q&A集更新の全内容
2024年8月1日、東京・八重洲のTKP東京駅カンファレンスセンター。「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」の第5回が開催されました。
第4回から約1年後のこの回は「第4回で決めた方向性がどこまで実現したか」を確認するフォローアップ回であると同時に、2024年6月公表の食品安全委員会「有機フッ素化合物(PFAS)評価書」という新たな科学的知見を政策に反映させる重要な回でもありました。
この記事では、第5回の会議について 公式資料をもとに詳しく解説します。
第5回が開かれた背景
第4回(2023年7月)で「対応の方向性」が取りまとめられてから約1年が経過していました。この間に大きな動きがいくつかありました。
- 2024年2月:PFHxSが化審法の第一種特定化学物質に指定(規制強化実現)
- 2024年6月:内閣府食品安全委員会がPFAS評価書を公表(新たな科学的知見)
- 2024年7月:住民向けリーフレット「PFOS・PFOAとは?」を公表
これらの動きを受け、「対応の方向性」の進捗を確認し、新たな知見をQ&A集に反映させることが第5回の目的でした。
会議の基本情報
開催日時 2024年(令和6年)8月1日(木)15:00〜17:00
開催場所 TKP東京駅カンファレンスセンター 会議室(東京都中央区)
開催形式 対面・オンライン併用/YouTube公開
事務局 環境省 水・大気環境局 環境管理課 水道水質・衛生管理室
※2024年4月に水道行政が厚生労働省から環境省へ移管されたため、事務局が変更されています。
配付資料一覧
- 資料1−1「PFASに関する今後の対応の方向性」を踏まえた対応状況について
- 資料1−1(正誤表)同上の正誤表
- 資料1−2「PFASに関する今後の対応の方向性」を踏まえた当面の主な取組について
- 参考資料1−1「PFASに関する今後の対応の方向性」(令和5年7月)
- 参考資料1−2PFOS及びPFOAに関する地方公共団体による健康状態の把握について
- 参考資料1−3令和6年6月25日付け 食品健康影響評価書(抜粋)
- 参考資料1−4リーフレット「PFOS・PFOAとは?」
- 参考資料1−5PFOS・PFOAに関するQ&A集(案)(令和6年8月)
- 参考資料1−6国内外の動向等について(PFOS・PFOA・その他PFAS)
議事次第
- 開会
- 議題
(1)「PFASに関する今後の対応の方向性」を踏まえた対応状況等について
・PFOS・PFOAへの対応について(管理の強化・汚染地域への対応・調査の強化等)
・その他のPFASへの対応について
・PFASに関する更なる科学的知見の充実等について
・「対応の方向性」を踏まえた当面の主な取組について
(2)その他 - 閉会
第5回で確認・決定されたこと
確認事項①:「対応の方向性」に基づく各施策の進捗(進捗状況(2024年8月時点))
- 水質基準への格上げ 水道水質・衛生管理小委員会等で審議継続中
- 対応の手引き : 充実第2版を2024年11月に公表予定
- 住民向けリーフレット : 2024年7月に作成・公表済み ✅
- 地方公共団体への健康状態把握通知 : 2023年8月・10月に発出済み ✅
- PFAS総合研究の推進 : 2024年度から3件の新規研究課題を採択・開始 ✅
- PFHxSの化審法規制 : 2024年2月に第一種特定化学物質に指定 ✅
- 泡消火薬剤の代替促進 : 消防庁:9割以上交換済み。2026年度末に完了目標
- PFAS一斉分析法の開発 : 2023年9月から検討開始。継続中
決定事項②:Q&A集の更新(2024年8月版)
食品安全委員会の評価書(2024年6月公表)を踏まえ、Q&A集を以下の通り更新することが決定されました。
| 箇所 | 変更前(2023年7月版) | 変更後(2024年8月版) |
| Q3「体外への排泄」の表 | 現「徐々に、自然に排泄されていきます」 | 「徐々に、体外へ排泄されます」 |
| Q8「関係省庁の取組状況」 | 2023年時点の記載 | 最新の進捗に更新 |
| PFAS評価書への参照追加 | なし | 食品安全委員会評価書へのリンク・言及を追加 |
「自然に」という言葉が削除されたのは、PFOSが「自然に分解される」わけではなく「体内の代謝・排泄機能を通じて徐々に減っていく」という科学的正確性を重視した修正です。
確認事項③:食品安全委員会PFAS評価書(2024年6月)の内容整理
評価書の主なポイント
- PFOS・PFOAのTDI(耐容一日摂取量):それぞれ20ng/kg/日が妥当と判断
- コレステロール値の上昇・出生時体重の低下・ワクチン応答性の低下との関連は「否定できない」
- ただし、これらを健康影響のためのエンドポイントとして採用するには「証拠が不十分」
- 発がん性については「ヒトに当てはめられるかどうか判断できない」
確認事項④:PFOS・PFOA以外のPFASへの対応状況
物質動向
- PFHxS : 2024年2月に化審法第一種特定化学物質に指定。製造・輸入等の原則禁止が決定 ✅
- PFNA : 国際的な規制議論が進行中。国内でのモニタリング強化
- GenX化合物 : EU・米国での検出事例・規制動向を継続フォロー
- 短鎖PFAS : 長鎖PFAS代替として使用増加。国内での実態把握を推進
確認事項⑤:当面の主な取組
- 水質基準への格上げの早期実現(審議継続・省令改正に向けた作業加速)
- Q&A集(2024年8月版)の公表と周知
- 対応の手引き第2版の公表(2024年11月予定)
- PFAS総合研究の推進
- PFASフォローアップ調査の実施
- PFAS一斉分析法の検討継続
第5回の重要ポイント
ポイント①:食品安全委員会評価書と今後の基準値
食品安全委員会がTDIを20ng/kg/日と設定したことで、現行の暫定目標値(50ng/L)の科学的根拠が改めて検証されました。専門家会議では「評価書の内容を尊重しつつ、引き続き専門的な審議が必要」という見解が確認されました。この評価書がその後の2026年4月改正の科学的根拠の一つになっています。
ポイント②:Q&A集の「自然に」削除が示すもの
わずか2文字の削除に見えますが、「科学的に正確な表現を維持し続ける」という専門家会議の姿勢を示しています。住民への情報発信は「一度作ったら終わり」ではなく、科学の進歩に合わせて継続的に更新されるべきものだということが改めて確認されました。
ポイント③:事務局の変更が示す行政体制の変化
2024年4月に水道行政が厚生労働省から環境省へ移管されたため、事務局が変更されました。これにより水道水質管理と環境水質管理が一元化され、より総合的なPFAS対応が可能になりました。
第5回以降の政策の実現
時期動き
- 2024年11月 PFOS・PFOAに関する対応の手引き(第2版)公表 ✅
- 2024年12月 水道におけるPFOS・PFOA調査の最終取りまとめ公表 ✅
- 2025年6月30日 水質基準改正省令の公布 ✅
- 2026年4月1日 水質基準として施行(法的義務化) ✅
5回を通じた専門家会議の総括
| 回開催日 | 会場 | 主な成果 |
| 第1回 2023年1月30日 |
環境省第一会議室 | 会議設置・問題の全体像整理・Q&A集骨格方針 |
| 第2回 2023年3月28日 |
環境省第一会議室 | PFAS全体対応・PFHxS等優先対象の方向性 |
| 第3回 2023年6月15日A |
P東京八重洲 ROOM P | Q&A集9問の骨格確定・リスクコミュニケーション3原則 |
| 第4回 2023年7月25日 |
環境省(霞が関) | 「対応の方向性」正式公表(日本のPFAS政策の転換点) |
| 第5回2024年8月1日 | TKP東京駅カンファレンスセンター | 進捗確認・評価書反映・Q&A集更新(2024年8月版) |
まとめ
第5回専門家会議は「専門家会議の成果が政策に実装されていることを確認した」回です。
第1回から4回で積み上げた議論・決定事項が、現実の政策変更(水質基準改正・PFHxS規制・研究推進等)として着実に結実していることが確認されました。また、新しい科学的知見(食品安全委員会評価書)を迅速にQ&A集に反映したことで「科学の進歩に合わせて情報を更新し続ける」という姿勢が示されました。
この5回の専門家会議が積み上げてきた議論こそが、2026年4月の水質基準改正という日本のPFAS政策の大きな転換点を生み出した原動力です。
資料へのリンク
議事次第・配付資料:https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas_00005.html
議事録:https://www.env.go.jp/content/000252917.pdf
食品安全委員会PFAS評価書:https://www.fsc.go.jp/osirase/pfas_health_assessment.html
委員名簿:https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas_meibo.html









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