沖縄県企業局のPFOS・PFOA対応事例|基地汚染問題と早期監視体制の構築
沖縄県企業局は、沖縄本島への水道用水供給を担う大規模な水道用水供給事業者です。北谷浄水場を中核施設として、表流水(自流)・ダム(直接)・浅井戸・海水など多様な水源から取水し、高度な浄水処理(原水→凝集沈澱→急速ろ過→オゾン→粒状活性炭→浄水)を経て供給を行っています。
沖縄県内でのPFAS問題は、米軍基地周辺での汚染が広く報じられてきた経緯があり、企業局は早期から水質監視体制を整備していました。
検出の経緯と水源の状況
沖縄県企業局は2014年(平成26年)2月という早い段階からPFOS・PFOAの水質検査態勢を確立し、実態把握のための調査を開始しました。これは国の暫定目標値設定(2020年)より6年以上前の先駆的な取り組みです。
2021年(令和3年)12月に浄水場原水で暫定目標値を超過が確認され、以下の水源・地点での検出状況が明らかになりました。
| 検査地点 | 検出濃度 |
| 比謝川(中部水源) | 210ng/L |
| 長田川(中部水源) | 256ng/L |
| 嘉手納井戸群 | 52ng/L |
| 大工廻川(比謝川支流) | 937ng/L |
| 北谷浄水場原水(表流水・ダム水の混合) | 75ng/L |
| 北谷浄水場浄水 | 35ng/L |
大工廻川では937ng/Lという極めて高い濃度が検出されており、浄水場での高度処理によって浄水段階では35ng/Lまで低減されていました。
応急的対応
汚染濃度が相対的に低い水源からの取水を増量し、高濃度水源からの取水を抑制・停止する水運用で対応しました。沖縄本島内のダム貯水率が高い時期には、濃度が高い水源(河川水)からの取水を停止・抑制し、ダム水からの導水量を増やす柔軟な運用を実施しました。
中期的対応
①嘉手納井戸群の流路変更と粒状活性炭処理(令和2年7月)
2020年7月、嘉手納井戸群原水について浄水場内の流路を切り替え、粒状活性炭処理を実施する体制に整備しました。
②粒状活性炭の定期交換と高性能炭の導入
粒状活性炭を定期的に取り替えるとともに、吸着実験・物性試験の研究結果を基に設計したPFOS等の吸着に特に適した粒状活性炭を導入することで、処理性能を高めました。
③長田川取水口の構造改善(令和6年3月)
2024年3月には、長田川取水ポンプ場の取水堰(せき)工事を実施。これにより、PFOS・PFOA濃度が高い河川下流部から取水口への河川水の回り込みを防止する物理的な対策を講じました。
④定期的な水質検査の継続
令和4年度まで4か所の水源と北谷浄水場の浄水・原水について週1回の頻度で水質検査を実施。令和5年度からは水源の取水状況に応じて週1回〜月1回の頻度で実施する合理的な体制に移行しました。
⑤水源モニタリング調査とホームページ公表
継続的な水源モニタリング調査を実施するとともに、水質検査の結果等をホームページで公表し、住民への情報提供を継続しています。
現在の状況
給水栓においてPFOS・PFOAの暫定目標値(50ng/L)以下で給水が行われています。高度処理(オゾン+粒状活性炭)を活かした処理強化と、水源の多様化・柔軟な水運用の組み合わせにより、安全な水道水の供給を維持しています。
まとめ
沖縄県企業局の事例は、米軍基地由来のPFAS汚染という特殊な背景を持ちながら、国の規制整備より6年以上前から自主的に監視体制を構築していた点が際立っています。高度な浄水処理技術の活用と、取水堰工事による物理的な汚染遮断、そして柔軟な水運用の組み合わせは、複雑な水源環境を持つ水道事業者にとって重要な参考事例です。









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