各務原市のPFOS・PFOA対応事例|代替水源なしで挑む浄水処理強化と民間技術試験
岐阜県各務原市は、名古屋市の北西に隣接する人口約14万人の市で、航空自衛隊岐阜基地を抱える地域です。深井戸を水源とし、当初は浄水処理なし(塩素消毒のみ)でしたが、PFOS・PFOA対応の過程で粒状活性炭による浄水処理システムを整備しました。各務原市の事例は、代替水源がない中での浄水処理強化による対応という点で特に参考になります。
検出の経緯
2020年(令和2年)11月、原水で暫定目標値を超過する99ng/Lが確認されました。しかもその後も原水では暫定目標値を超過した状態が継続しており、水源切り替えだけでは解決できない状況でした。
応急的対応
個々の取水井で水質検査を実施し、高濃度の取水井を停止する措置を講じましたが、それでも原水全体を暫定目標値以下にすることはできませんでした。さらに、代替となる水源も存在しないという厳しい条件の中で、浄化施設の整備が不可欠と判断されました。
第1期工事(緊急・応急的対策):既設曝気槽を活用した粒状活性炭浄化システム
従来あった曝気槽(遊離炭酸除去用)を活用し、槽内に設置していた箱の内容物を「遊離炭酸除去の補助材」から「粒状活性炭」に置き換えるという機転の利いた応急整備を実施しました。
2023年(令和5年)10月にこの活性炭浄化システムが稼働開始し、以降は浄水場出口および給水栓においてPFOS・PFOAが暫定目標値以下であることが継続して確認されています。
中期的対応
①定期的な水質検査
2021年度以降は概ね月6回の頻度で個々の取水井の水質検査を実施。2022年度以降はさらに月1回の頻度で原水の水質検査も実施しています。
②PFAS処理技術の性能試験(民間企業公募)
より安定的・長期的な対策のため、PFAS処理技術の性能に関する試験を実施する民間企業を公募し、各社が以下のような試験を実施しています。
企業試験内容メタウォーター株式会社粒状活性炭・イオン交換樹脂のPFAS除去性能評価ソニー知的財産サービス株式会社粉粒由来多孔質カーボン素材(トリポーラス)のPFAS除去性能評価株式会社クボタ活性炭のPFAS除去性能評価三菱ケミカル・クリンスイ株式会社自社浄水処理製品のPFAS除去性能試験株式会社ビー・オー・アイ技術研究所焼結造粒粘土によるPFASの無害化試験興和株式会社PFAS吸着剤DEXSORB®(Cyclopure社)のPFAS除去性能評価三菱化工機株式会社電気分解装置によるPFASの分解処理試験水道機工株式会社粒状活性炭等吸着剤のPFAS除去性能評価
③専門家委員会の設置
「各務原市水質改善対策委員会」を設置し、中期的な対策方針を専門家とともに検討しています。
④長期的な水源確保の検討
新たな水源地の確保も視野に入れた長期的な対応として、表流水・地下水・他の用水供給事業者からの受水など、あらゆる候補を洗い出した上で最良案の選定を検討しています。
⑤環境部局との連携
市と県の環境部局が連携して市内の地下水・河川の水質調査を実施し、汚染範囲の特定を進めています。また、環境中のPFOS・PFOAに関する今後の方向性を検討するため専門家会議も設置されています。
⑥まちづくりミーティングでの説明
市内の地区ごとに開催している「まちづくりミーティング」に水道部も出席し、住民への説明と質疑応答を丁寧に実施しています。
現在の状況
給水栓においてPFOS・PFOAの暫定目標値(50ng/L)以下での給水が維持されています。既設曝気槽を活用した粒状活性炭処理の稼働により、問題発覚から約3年という期間を経て安定した対応を実現しました。
まとめ
各務原市の事例は「代替水源がない」という困難な状況でも、既存施設を創意工夫して活用することで浄水処理強化を実現した好例です。また、民間企業を公募してPFAS処理技術の試験を行うオープンイノベーション的アプローチは、日本の水道業界では先進的な取り組みとして注目されます。









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