2026年5月 PFAS規制・国内検出・産業動向トピックス|水道法義務化後の最新動向まとめ
2026年4月1日に施行された水道法のPFOS・PFOA水質基準義務化を受け、2026年5月は国内外でPFAS関連の動きが集中した1か月となった。PFAS Solutions+の独自集計によると、2026年5月のPFAS関連ニュース・公的発表・企業リリースは全64件に達しており、月次の集計としては過去最多水準である。
本レポートでは、2026年4月〜5月のPFAS関連動向を、①国内検出事例、②国内規制・行政動向、③公害調停・訴訟、④国際規制(EU・米国)、⑤産業界の対応(PFAS除去技術・代替素材・浄水器)、⑥米軍基地関連、⑦市民団体の動きの7分野に整理し、製造業・自治体・水道事業者・研究機関の実務担当者向けに体系的に整理する。
1. 国内検出事例:水道法義務化後の検査拡大で表面化した汚染
2026年4月1日の水道法改正により、PFOSおよびPFOAが水質基準項目に追加され、水道事業者には原則3か月に1回以上の検査が義務付けられた。この義務化を契機に、4月以降、国内各地で新規のPFAS検出事例が相次いで報告されている。各地域のPFAS検出状況については、当社が公開しているPFAS汚染マップ(日本)で継続的に更新している。
2026年5月の主な検出事例
長崎市・三重川(5月28日発表)
長崎市は市北部を流れる三重川で、PFOS・PFOA合算値が1リットルあたり64ナノグラム(速報値、5月11日採取)と国の指針値(50 ng/L)を上回ったと公表した。2025年11月の同地点検査では0.3 ng/L未満であり、急激な濃度上昇が確認された。市は2025年度から市内河川18地点で定期検査を実施しており、指針値超過は今回が初めて。市は周辺住民に対し、井戸水を飲み水として使用しないよう呼びかけている。
埼玉県熊谷市妻沼(5月28日発表)
熊谷市は能美防災妻沼東事業所周辺の追加水質調査結果を発表し、調査対象井戸11カ所のうち5カ所で指針値を超過、最大値は1リットル当たり2,100ナノグラム(指針値の42倍)に達したと公表した。汚染井戸は当初の南東側だけでなく北東側にも分布し、北東〜東南東方向へ扇状に拡大していることが判明。市は調査エリアをさらに500メートル拡大する方針を示した。4月の初期調査時点では事業所敷地内で指針値58倍(2,900 ng/L)が検出されていた。熊谷市の検出問題の詳細経緯については、当社の関連記事「熊谷市でPFAS高濃度検出|事業所敷地内地下水43,200ng/L、井戸水と水道水を冷静に整理」で整理している。
静岡県沼津市(5月29日発表)
沼津市は市立沼津高校敷地内の地下水から国の指針値を超えるPFASが検出されたと発表。当該地下水はトイレおよびプールに使用されており、飲用には使用されていない。現在は使用を停止し、原因調査を進めている。学校施設の地下水からPFASが検出される事例は全国的に珍しく、自治体による地下水調査拡大の流れの中での発覚となった。
三重県四日市市(5月7日)
四日市市の矢合川で有機フッ素化合物が検出されたことを受け、市民団体が三重県に対し、原因調査と汚染源の特定、住民への情報公開、健康影響調査などを求める要望書を提出した。四日市は石油化学コンビナートを抱える工業都市である。
石川県白山市(5月19日)
化学工場の敷地内地下水からPFOS・PFOA合算で最大99,600 ng/L(指針値の約2,000倍)が検出された問題(2026年2月公表)を受け、希望住民の血液検査が開始された。初日21人が参加し、京都大学の原田浩二准教授らが分析を担当する。
4月以前の主な検出事例
福井県あわら市(4月7日報道)
医療機関の井戸水から1リットルあたり79 ng/L(国指針値の約1.6倍)が検出された。井戸水は患者の食事や入浴に使われていたが、現在は使用停止されている。
環境省・国土交通省 全国調査(3月28日公表)
2024年度の全国河川・地下水水質測定の集計結果が公表された。47都道府県の約4,000地点のうち、26都府県の629地点で国の指針値を超過していることが確認された。最大値は大阪府熊取町の地下水で1リットル当たり7万3千ナノグラム(指針値の1,460倍)、岡山県吉備中央町の河川で7万2千ナノグラム、大阪府摂津市の地下水で3万ナノグラムなど。熊取町の事例の詳細は「熊取町PFAS汚染|地下水で1460倍検出の意味・原因・水道水への影響を解説」で解説している。
国の公式情報は環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」で一元的に公開されており、PFASハンドブック・Q&A集・専門家会議資料などを参照できる。
これらの検出事例の連続発生は、汚染状況が急速に悪化しているのではなく、水質基準義務化を契機として、これまで実施されていなかった検査によって既存の汚染が可視化されていることを示している。今後も自治体・水道事業者による検査拡大に伴い、新規検出事例の報告は継続的に増加すると見込まれる。検査が必要な事業者は、当社の「PFAS分析機関一覧|検査会社・研究機関・分析ラボまとめ」で全国の分析対応機関を確認できます。
2. 国内規制動向:LC-PFCA追加、4種目への規制拡大
2026年5月19日、政府は「化審法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定した。これにより、長鎖ペルフルオロアルカン酸(LC-PFCA)とその塩、LC-PFCA関連物質、クロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン(MCCP)が化審法第一種特定化学物質に指定され、2026年11月22日から適用される(経済産業省プレスリリース)。
これにより、日本国内におけるPFAS関連の第一種特定化学物質指定は、PFOS・PFOA・PFHxSに続き4種目となる。第一種特定化学物質に指定された物質は、製造・輸入が原則禁止となる。この措置は、2025年に開催されたストックホルム条約COP12でのLC-PFCAの廃絶決定を国内法に反映するもの。
水道法改正の施行(2026年4月1日)
- 対象物質:PFOS・PFOA
- 基準値:合算値で1リットル当たり50ナノグラム(0.00005 mg/L)以下
- 検査義務:水道事業者および地方公共団体に原則3か月に1回以上
- 同時改正:公共用水域・地下水の「指針値(暫定)」を「指針値」に格上げ
水道事業者・自治体向けの実務対応については、当社の「2026年PFAS水質基準義務化 完全対応ガイド」でPFOS・PFOA対応マニュアル、基準値超過時の対応フロー、住民コミュニケーションの手順を整理している。
環境省・国土交通省の動き
国土交通省は2026年3月27日、水道事業者向けに「PFOS・PFOA対応マニュアル」を公表した。基準値超過時の3段階対応(水質確認・住民告知・関係機関報告/代替水源切替・粉末活性炭注入/飲用制限)を明示し、短期・中期・長期の対応フローと住民コミュニケーションの手順を整備した。
自治体レベルの対応
東京都
2026年5月22日、環境局のPFAS関連ページを更新し、令和6年度(2024年度)から地下水概況調査を年間260地点に拡大して実施していることを明示した。多摩地域を中心とした地下水汚染の実態把握強化が進んでいる。
埼玉県
2026年5月13日、PFASの基礎知識と規制状況に関する公式ページを更新した。東京都小金井市は5月11日、市内井戸水のPFAS水質調査を独自に実施することを発表した。
3. 公害調停・訴訟:ダイキン公害調停1,131人、日本最大規模
ダイキン工業淀川製作所周辺のPFOA問題
大阪府摂津市のダイキン工業淀川製作所周辺でPFOAが検出された問題で、地元住民らが大阪府公害審査会に申し立てた公害調停の申請人数が、2026年5月時点で1,131人に達した。経緯と論点の詳細は、当社の解説記事「ダイキンPFAS公害調停が『申立人1,100人超』に ― 報道では見えにくい4つの論点を整理する」で整理している。
経緯:
- 2025年12月23日:第1次申し立て、住民ら約800人が申請、府が同日付で受理
- 2026年5月26日:第2次申し立てで新たに約300人が加わり、申立人総数が約1,100人を超過
- 2026年5月27日:日経新聞報道では、追加分を含めた申請人数が1,131人に達したと報じられた
- 2026年7月:初回調停期日が予定
住民側弁護団によれば、企業を相手取ったPFAS関連の公害調停としては日本初であり、申請人数は企業相手の公害調停としては日本最大規模である。住民側は以下を求めている:
- ダイキン工業が保有するPFAS調査資料の開示
- 継続的な地下水調査
- 被害補償を話し合う協議会の設置
- 健康調査の実施
関連する健康影響調査
2026年2月4日、「大阪PFAS汚染と健康を考える会」と京都大学による血液検査の結果が公表された。ダイキン工業淀川製作所周辺住民の6割以上が要注意ラインを超過しており、地元産野菜を食べていない住民でも、居住年数が長い人にPFOA血中濃度が高い傾向が確認された。研究チームは粉塵による吸入暴露の可能性を指摘している。工場東側の一津屋地域の井戸ではPFOA濃度が2万〜3万 ng/Lと検出されており、ダイキンが2023年末から設置した遮水壁の効果は現時点で確認されていない。
国際的な訴訟動向
イタリア・ミテニ社事件(2025年6月26日判決):イタリア・ヴィチェンツァ地方裁判所は、PFASによる北部ベネト州の水質汚染で、三菱商事の元子会社ミテニ社の元幹部ら日本人3人を含む11人に対し、禁錮2年8月〜17年6月の有罪判決を下した。三菱商事などに対しイタリア環境省への賠償金として総額約5,700万ユーロ(約96億円)の連帯支払いが命じられた。市民・地方政府への賠償を含めると総額6,300万ユーロを超える。欧州のPFAS関連訴訟で企業幹部の刑事責任が問われた初の事例。
オーストラリア政府による3M社提訴(2026年5月28日):オーストラリア政府は消火泡に使用されたPFASによる汚染を巡り、3M社を連邦裁判所に提訴。Wreck Bay、Norfolk Island、Katherine、Oakey、Williamstown等の国防施設周辺の汚染で、14億3,000万ドル超の損害賠償を請求している。
4. 国際規制動向:EU厳格化、米国一部撤回の二極化
EU:REACH規則PFAS制限案の最終局面
2026年3月3日
ECHA RAC(リスク評価委員会)がREACH規則のPFAS制限提案について最終意見を採択し、EU全域でのPFAS制限を支持した。本提案は2023年にオランダ、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの5カ国が提出したもので、約1万種以上に及ぶPFASをクラスとして包括的に規制する内容である。
2026年3月26日
ECHA SEAC(社会経済分析委員会)がドラフト意見を公表し、60日間のパブリックコメント期間を開始。一般禁止+用途別の時限的適用除外という枠組みを推奨した。
2026年5月25日
パブリックコメント期間が終了。SEACは2026年末までに最終意見を採択する見込みで、その後欧州委員会が制限案を起草する。最新の進捗はECHA公式の「Per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS)」ページで随時更新されている。
EU規制の対象範囲とPFAS定義については、当社の解説「EU PFAS規制における「PFASの定義」とは?CF3・CF2基で広がる対象範囲を分かりやすく整理」および「EUのPFAS規制はなぜここまで厳しいのか|ECHA最新資料からわかる『安全な排出量はない』という考え方」で詳述している。
EU包装規則(PPWR)
2025年1月22日にEU官報で公布されたPPWRにより、2026年8月12日以降、一定濃度以上のPFASを含む食品接触包装はEU市場で禁止される。EU域外から輸出される食品包装も対象であり、日本企業を含むサプライヤーは輸出向け包装材のPFASフリー化や代替材料の検討が必要となる。米国の包装材PFAS規制動向と合わせ、輸出企業向けには「米国PFAS包装材規制:日本企業が今すぐ取るべき緊急対策|PFAS Solutions+実務ガイド」で対応の優先順位を整理している。
フランス独自のPFAS法
フランスでは2025年2月にPFAS法が制定され、2026年1月から、PFASを含有する化粧品、スキー用ワックス、衣料用繊維製品および履物、ならびにそれらの防水剤の製造・輸入・輸出・市場投入が禁止された。デンマークに続きEU加盟国で2例目のPFAS全面規制法である。
米国:トランプ政権下での一部撤回方針
2026年5月19日、米EPAはバイデン政権が決定した飲料水PFAS基準(NPDWR)について、PFOA・PFOSのMCL(最大汚染レベル)は維持する一方、GenX、PFHxS、PFNA、PFBSの4物質の基準を撤回・再検討する規則案を公表した。これら4物質は腎臓がん・精巣がん・肝障害・免疫機能低下との関連が指摘されている。同時に、PFAS除去のため小規模・不利益地域に約10億ドルの助成金支給も発表された。
米国TSCAに基づくPFAS報告義務
米EPAのPFAS報告規則(2023年10月成立)により、2011年以降にPFASを商業目的で製造・輸入した企業は、PFASの化学的情報、使用用途、製造量、環境・健康への影響等の報告が義務付けられている。データ報告期間は2026年4月13日から10月13日まで(小規模事業者は2027年4月13日まで延長)。製品輸入を含む対象範囲が広いため、日本のフッ素化学・電子部品・繊維など多業種に影響する。REACH規則のSVHC調査票への対応については、当社の「REACH規制のSVHC調査票の書き方【製造業向け】|回答を求められたときの完全対応ガイド」も参照されたい。
EUの規制強化と米国の規制緩和という二極化が進行する中、EU市場向け製品とサプライチェーンを持つ日本企業にとっては、EUの最終的な制限規則の内容が事業継続上の最重要事項となる。
5. 産業界の対応:日本企業のPFAS処理・除去事業の本格化
2026年4月〜5月、日本の素材・水処理・化学メーカーがPFAS関連事業で具体的な動きを示した。規制対応の受動的な対応ではなく、規制強化を商機と捉えた攻めの事業展開が複数社で同時に進行している。化学・素材メーカー全般のPFAS対応の概観については、当社の「化学・素材メーカーのPFAS対応ガイド|フッ素樹脂・コーティング剤・代替素材開発の最前線」を参照されたい。
PFAS除去技術・水処理分野
メタウォーター株式会社(2026年4月23日)
岐阜県各務原市から「三井水源地水質改善処理施設整備工事(浄水処理設備)」を受注。これは水道水で全国初となるイオン交換樹脂を用いたPFAS除去設備の新設工事である(メタウォーター プレスリリース)。従来の活性炭式に対し、イオン交換樹脂はPFASに対する選択性が高く、長期間の高除去性能維持が可能である。今後の自治体水道事業者によるPFAS除去設備導入の先行モデルとなる可能性が高い。
栗田工業株式会社(2026年4月20日)
米国のPFAS処理技術企業Cyclopure社へ出資し、シクロデキストリン系吸着材「DEXSORB」を活用したPFAS対策事業を米国から本格展開すると発表(栗田工業 プレスリリース)。米EPAのPFAS規制を背景に米国市場での需要拡大に対応する。
ランクセス株式会社(2026年5月26日)
選択性イオン交換樹脂「Lewatit」を用いた実証試験で、工場排水から99.9%超のPFAS除去を確認したと発表(ランクセス プレスリリース)。製造業向け排水処理ソリューションを本格展開している。
エマルションフローテクノロジーズ株式会社(茨城県)
2026年4月24日に500L実証プラントが完成・稼働開始、4月28日にフィンランドVTT技術研究センターと欧州市場展開に向けた協業検討を開始した。原子力研究を起源とする独自の「エマルションフロー」分離法を基盤に、リチウムイオン電池からのレアメタル回収、PFAS除去・回収などを進める日本発のディープテック企業。
NanoFrontier株式会社(東北大学発スタートアップ)
2026年4月22日、「SusHi Tech Tokyo 2026」に出展。ナノ材料技術を基盤としたPFAS分析・除去技術での事業化を進めている。
東レ株式会社
グローバル水ビジネス部門「TORAY WATER」がLinkedInで水処理膜技術の動画シリーズを開始し、国際発信を強化している。同社のRO(逆浸透)膜はPFAS除去率99%以上の性能を持つ。
消火薬剤・防災分野
能美防災株式会社(2026年5月19日)
PFASを使用しない新泡消火薬剤を採用した特定駐車場用泡消火設備「グリーンスコール」の販売を開始した(能美防災 プレスリリース)。同社妻沼東事業所周辺で5月28日に指針値の42倍のPFAS検出が確認されており、PFASフリー製品の上市と過去事業所周辺の汚染対応を同時並行で進める構図となっている。
ヤマトプロテック株式会社(2026年4月27日)
直進性の高い泡放射で短時間消火を実現する新型「泡噴霧消火ヘッド/泡噴霧消火システム」を開発した。PFAS含有泡消火剤(AFFF)の世界的廃止に向けた流れの中、消火性能を維持する新世代消火システムへの移行を可能にする技術。
泡消火剤を保有・使用する事業者は、PFOS含有泡消火剤の在庫確認・代替計画について当社の「PFOS消火剤 対策支援」サービスでサポートしている。
浄水器・水処理(家庭向け)分野
水道法義務化を背景に、家庭向け浄水器・浄水ウォーターサーバー市場でPFAS対応製品の投入が相次いだ。
| 発表日 | 企業 | 製品 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 4月1日 | 株式会社VISION | ViVi Water ハイグレードプラス | PFAS含む50種類除去(PFAS 99.9%以上) |
| 4月27日 | 東レ株式会社 | トレビーノ®スーパースリム608SV | 蛇口直結型最上位モデル |
| 5月20日 | スパーク株式会社 | puriot CUTE | USB-C充電式コンパクト浄水器 |
| 5月21日 | 東レ株式会社 | トレビーノ®スーパータッチ904V-BK | 蛇口直結型ブラックカラー |
| 5月27日 | スパーク株式会社 | puriot ES | 三菱ケミカル・クリンスイ製フィルター搭載 |
アパレル・繊維分野
デサント株式会社(2026年5月29日):撥水加工のPFASフリー対応を本格化させ、先行した欧州向け展開に続き、2026年春夏シーズンから国内向け製品でもPFASフリー化を本格展開すると発表した。
調理家電分野
ドウシシャ株式会社(2026年5月30日):キッチンブランド「CORELLE」を取り扱うコレールブランズと共同開発で、PFASフリーの独自加工技術を内釜に採用した5合炊きIH炊飯器を発売した。
市場調査・分析
TPCマーケティングリサーチ株式会社(2026年5月25日):『2026年 PFAS代替素材の用途別市場と実装動向』を発刊。包装材、半導体、EV、コーティング、繊維、医療など主要用途ごとに、規制インパクト、代替難易度、主要代替材料、量産化状況を整理し、2035年までの用途別市場規模・実装率を予測している。PFAS代替材料の全般動向は、当社の「PFAS代替材料とは|PFASフリー材料と代替技術を解説」で整理している。
学術・人材育成
産業技術総合研究所(産総研)/AIST Solutions(2026年4月3日):信頼できるPFAS分析と国際標準を体系的に解説する「PFAS分析・標準化マスター講座」(テクノナレッジ講座)を開催した。企業の品質保証担当者や行政検査担当者を対象としている。
6. 米軍基地関連:立入調査をめぐる日米地位協定の運用課題
米軍基地周辺のPFAS汚染問題は、PFASを巡る日本国内の主要課題の一つとして継続している。
沖縄県北谷町・伊礼原遺跡(2026年5月28日)
北谷町教育委員会は、遺跡内の水路から指針値を超える高濃度PFASが検出されたことを受け、「水路の水には触れないでください」との注意書きを設置した。汚染源は近隣の米軍キャンプ桑江(レスター)内の浄水場水源に近い湧水地と推定されている。
山口県岩国基地隣接池(2026年5月20日)
市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」が4月17日に採取した水から、PFOS・PFOA合算で1リットル当たり84.5ナノグラム(指針値の約1.7倍)を検出。半年ごとの調査4回連続で指針値超過となっている。
沖縄県浦添市・牧港補給地区(2026年4月22日報道)
2024〜25年度の追加調査により、雨水排水路から指針値の6倍強のPFASを検出。沖縄県は「牧港補給地区内に汚染源が存在する可能性も考えられる」と初めて言及し、基地への立ち入り申請を検討している。
沖縄県の立入申請拒否(2025年12月19日発表)
防衛省は、沖縄県が2016年6月以降4回にわたり申請してきた日米合意に基づく米軍施設への立ち入りを、米側がすべて拒否したと発表した。米側は「米軍施設が汚染源だと示す明確なサンプル調査データが不足」と主張している。横田基地では2024年12月に初の立ち入りが実現したのと対照的であり、日米地位協定の運用上の不均衡が課題となっている。
7. 市民団体の動き:PFAS全国連絡会52団体への拡大
PFAS全国連絡会は、2026年3月の発足時44団体から、2026年5月時点で52団体(20都道府県)に拡大した(朝日新聞報道)。食品安全委員会や環境省への要望書提出を継続しており、地域ごとに孤立していた住民運動が全国規模のネットワークとして集約されつつある。発足時の経緯については当社の「PFAS全国連絡会が発足|全国44団体が環境省・食品安全委に要望書を提出【2026年3月】」で詳述している。
主な活動事例:
- 2026年5月7日:三重県四日市市の市民団体が三重県に矢合川PFAS問題で要望書提出
- 2026年5月28日:兵庫県の「明石神戸PFAS汚染と健康を考える会」が産業廃棄物業者との連携を要請
- 2026年5月19日:石川県白山市で住民血液検査開始(初日21人)
東京新聞独自報道(2025年11月5日)
環境省自治体向け手引の修正案で、PFAS血液検査について「結果への精神的なフォロー手段が確立されておらず、かえって不安が増す可能性がある」と否定的な姿勢が記載されていた。市民団体や専門家からの反発を受け、後日この文言は正式版で削除された。
多摩地域住民67%が米指標超え(2025年11月5日報道)
市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」と京都大原田准教授による血液検査で、計791人を分析。都水道局が汚染で井戸の取水を停止した7市の住民の67%が、米国の「健康被害の恐れがある」指標を超過していた。
2026年5月の動向から見えてきたのは、PFAS問題が環境部門だけの課題ではなく、法務・調達・品質保証・経営企画・自治体対応まで関わるテーマになっていることです。
企業や自治体に求められる対応を4つの領域に整理すると、次のようになります。
8. 企業実務への示唆
2026年4〜5月のPFAS関連動向から、企業実務担当者が把握すべき要点を以下に整理する。
規制対応上の要点
- 国内規制:水道法のPFOS・PFOA義務化(4月1日施行)、化審法の第一種特定化学物質4種目化(11月22日適用)への対応が必要。
- EU規制:PPWR適用開始(2026年8月12日)、REACH PFAS制限案最終意見(2026年末予定)の動向把握が、EU向け事業の継続性確保に不可欠。
- 米国規制:TSCA PFAS報告義務(2026年4月13日〜10月13日)への対応が必要。製品輸入者を含む対象範囲の確認を推奨。
調達・サプライチェーン上の要点
- PFAS含有の有無確認:自社製品およびサプライヤーからの調達品におけるPFAS含有状況の確認。
- 代替素材の検討:規制対象となる用途(食品接触包装、繊維製品、消火薬剤等)における代替素材の量産化動向の継続フォロー。
- 代替技術の動向:PFAS除去・分解技術(イオン交換樹脂、活性炭、RO膜、シクロデキストリン系吸着材等)の選択肢検討。
業種別の具体的なPFAS対応は、当社の業種別ガイド「自動車部品メーカーのPFAS対応ガイド」「化学・素材メーカーのPFAS対応ガイド」が参考になる。
経営リスク上の要点
- 訴訟リスク:ダイキン公害調停の事例を踏まえた、自社過去事業所・現事業所周辺のPFAS環境調査の実施検討。
- 情報開示リスク:有価証券報告書・サステナビリティレポート等におけるPFAS関連情報開示の動向把握。
- 保険・補償:PFAS関連の潜在的負債に関する内部評価。
自治体・水道事業者向けの要点
- 検査体制の整備:水道法義務化に基づく3か月に1回以上の検査体制の継続運用。
- 指針値超過時対応:国交省マニュアルに基づく3段階対応フローの実施準備。
- 代替水源確保・処理設備導入:基準値超過リスクのある水源を持つ事業者は、活性炭吸着、イオン交換樹脂、RO膜等の処理技術の比較検討。
- 住民コミュニケーション:検出結果公表時の住民説明体制の整備。
出典・参考情報
本レポートは、2026年4月〜5月にかけてPFAS Solutions+が独自に収集・整理した全64件の公開情報(行政発表、企業プレスリリース、報道、学術発表等)に基づく。個別事案の詳細については、当社が運用するニュースアーカイブをご参照されたい。
主要な一次情報源
- 環境省・有機フッ素化合物(PFAS)について
- ECHA・Per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS)
- 経済産業省・化審法施行令改正政令(2026年5月19日閣議決定)
関連サービス
- 製造業向けPFASサポート:排水検査・含有調査票・EU輸出規制への対応を一貫サポート
- 水道・PFAS対策支援:自治体・水道事業者向けの検査体制構築・住民説明支援
- EU輸出・PFASコンプライアンス:REACH規則・PPWR等への対応サポート
- PFOS消火剤対策支援:在庫確認・代替計画策定
PFAS規制への対応方向整理(初回無料)に関するご相談を承っております。
※当社は法律事務所ではなく、個別の法的判断は提供しておりません。
必要に応じて専門の弁護士・コンサルタントと連携の上、規制動向と対応方向の整理を行います。
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