渋川市のPFOS・PFOA対応事例|ポンプ更新が引き金となった地下水汚染の発覚と対処
群馬県渋川市は、関東平野の北西部、利根川沿いに位置する人口約7万5千人の市です。表流水・伏流水・湧水・深井戸水・原水受水・浄水受水と多様な水源を持ち、塩素消毒のみの浄水処理で給水を行っています。渋川市の事例は、ポンプ更新という設備工事がきっかけで問題が表面化した点が特徴的です。
検出の経緯
2020年(令和2年)11月、渋川9号井の井戸用取水ポンプの更新工事が完了し、揚水量が増加しました。その後、PFOS・PFOAの値が上昇する傾向が見られ、2021年(令和3年)7月の検査で水道原水が暫定目標値を超過していることが確認されました。
ポンプ更新による揚水量の増加が、それまで深部に停留していた高濃度地下水の引き込みを招いた可能性が推察されています。なお、浄水(給水栓)では超過はなく、他の水源との混合で希釈されていたとみられます。
応急的対応
①バルブ操作による揚水量の減少(令和3年7月)
問題を把握した同月(2021年7月)、バルブ操作によって揚水量を減量する即座の対応を実施しました。この措置によってPFOS・PFOAの値が低下することを確認しました。
②水質検査の強化
群馬県が実施している「水道水質監視検査事業」(県と水道事業者が協力して全県的な水質監視を実施する制度)に加え、市の独自調査として井戸・浄水について臨時の水質検査を実施。群馬県の事業を通じて水質検査結果を県とも共有しました。
③マスコミへの情報提供
水質検査結果についてマスコミへの情報提供を実施し、住民への情報公開に努めました。
中期的対応
①定期的な水質検査の継続(令和3年度〜)
2021年度から、すべての井戸を対象に水質検査を年1回実施する体制を整備しました。
②渋川9号井の検査強化(令和6年度〜)
2024年度からは、問題が確認された渋川9号井については年5回、また有馬給水区域の浄水においても年5回の検査を実施する強化体制に移行しました。
③ホームページでの情報公開
市のホームページで水質検査結果を定期的に公表し、住民への透明性を確保しています。
④専門家・業者との協議
県の水道行政担当部局、コンサルタント、水処理メーカーと協議を行い、今後の対策を検討しています。浄水処理方法の改善も含めた総合的な対策の検討が進められています。
現在の状況
給水栓においてPFOS・PFOAの暫定目標値(50ng/L)以下での給水が維持されています。ポンプ更新という日常的な設備メンテナンスが思わぬ形で水質問題を顕在化させた本事例は、設備更新時の水質への影響を事前に確認することの重要性を示しています。
まとめ
渋川市の事例は、設備更新(ポンプ交換)という管理上の変更が水質変動をもたらした点でユニークです。「設備変更→揚水量増加→高濃度帯水層からの引き込み→濃度上昇」という因果関係は、同様の設備を持つ水道事業者に対して重要な教訓を提供しています。また、群馬県の水道水質監視検査事業を活用した県との連携体制も参考になります。









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